すでに昇級を決めていた高見泰地七段は敗れる。佐々木大地五段は2期連続の4位で届かず

第78期順位戦C級2組10回戦(主催:朝日新聞社、毎日新聞社)が、3月5日に東西の将棋会館で一斉に行われました。9連勝の高見泰地七段はすでに昇級を決めており、残る2つの昇級枠を勝ち取ったのは、三枚堂達也七段と古森悠太四段でした。

9回戦終了時点で昇級の可能性があった上位陣は以下の通り(かっこ内数字は順位)。

9勝0敗:高見泰地七段(8)
8勝1敗:三枚堂達也七段(9)、牧野光則五段(25)、古森悠太四段(37)
7勝2敗:佐々木大地五段(5)、西田拓也四段(7)

自力は三枚堂七段と牧野五段。三枚堂七段は負けても昇級の可能性が残りますが、牧野五段は敗れると圏外となります。牧野五段と西田四段は直接対決のため、三枚堂七段より順位の低い2敗勢には昇級の目はありません。

昇級の懸かった対局はどれも熱戦になり、最初に決着がついたのが▲中座真七段-△三枚堂七段戦で、時刻は22時47分でした。相掛かりの将棋から、激しい寄せ合いになった本局。最終盤、どちらの玉も危険極まりない状況で、中座七段に運命の2択の場面が訪れます。相手玉を一気に寄せるか、自陣に一手入れて相手の攻めを緩和するか。ここで中座七段は攻めを選択。その瞬間、三枚堂七段の昇級が決まりました。自玉はギリギリ寄らないことを読み切っていた三枚堂七段。飛車を切る決め手を放って勝利をつかみ取りました。もし、中座七段が受けの手を指していたら形勢は厳しかったようで、昇級を逃していたかもしれませんでした。

次に終局したのが、23時24分に決着がついた▲竹内雄悟五段-△古森四段戦。竹内五段の中飛車左穴熊に、古森四段は三間飛車で美濃囲いに組んで対抗。中盤で、うまく戦機をつかんで飛車を成り込むことに成功した古森四段が、リードを奪いました。終盤は相手の竜と馬に追い詰められましたが、的確な受けで玉を逃がして古森四段の勝利。これで牧野五段が敗れれば昇級というキャンセル待ちになりました。また、佐々木五段と西田四段の昇級はなくなりました。

古森四段が勝利した6分後に▲牧野五段-△西田四段戦が終局。本局は、牧野五段が3手目に角交換をする意表の出だしから、双方が序盤早々に馬を作り合う力戦形となりました。中盤に千日手模様となりましたが、西田四段が打開。これが功を奏してリードを奪うと、果敢に踏み込んで一気に寄せ形を築きました。昇級が懸かっている牧野五段は必死に粘りましたが、西田四段が鋭い寄せを決めて勝利。この結果、最後の昇級枠は古森四段が手にすることになりました。

1敗の3人のうち、2人が敗れて自身が勝てば昇級だった佐々木五段は、23時55分に田中悠一五段を破りましたが、前述の通り、すでに昇級枠はありませんでした。佐々木五段は前期も8勝2敗で4位。今期も全く同じ結果となり、2期連続であと一歩及びませんでした。

昇級した3人。左から古森四段、高見七段、三枚堂七段
昇級した3人。左から古森四段、高見七段、三枚堂七段