茹でたパスタにかけるだけで、レストランで食べるような本格的な味が楽しめるパスタソース。スーパーでは、さまざまなメーカーから多種多様な商品がラインナップしており、好みやシーンに合わせて迷いながら選ぶのも楽しい。そこで今回は、パスタソースのメーカー3社がそれぞれ自信をもって販売している「ボロネーゼ」を食べ比べてみた。ひき肉とトマト、玉ねぎなどを炒めて赤ワインで仕上げた定番パスタソースだが、3社にどんな違いがあるのだろうか。
※調理方法:乾麺のパスタ100gを茹で、パスタソースはパウチのまま湯せんで5分ほど温めて和えた。写真のハーブは撮影用に編集部で添えたもの
ハーブが贅沢に香る 日清フーズ「青の洞窟 ボロネーゼ」
まずは、日清フーズが2001年から販売し、改良を重ねている人気商品。香味野菜とハーブの香りがポイントとなっている。
開封すると早速、ハーブや香辛料の爽やかな香りが立ち上り、パスタと合わせるとまるでレストランの一品のよう。一口食べるとひき肉と玉ねぎなどの野菜が口に入ってきて、いろいろな食感を楽しめる。トマトの旨味、酸味と赤ワインが引き立てるひき肉の旨味、甘味のバランスが絶妙であるうえ、ひき肉が想像よりたっぷりと入っていて、ボリュームにも満足できた。ソースの量が多めなので、バゲットも用意して最後まで味わいたいパスタソースだ。
「食にこだわりがあり、食卓の雰囲気も大切にする大人の方をターゲットに考えている」と同社加工食品事業部第二部 営業グループの村井琢磨さんは説明する。香りが良く、ひき肉の旨味もバランスよく味わえ、まさに大人が好むボロネーゼだ。パッケージ裏面に原材料として表示のある「ブロード」について聞いてみると「ブロードとは、複数の香味野菜から作ったブイヨンです。さらに複数種のハーブと香味油を組み合わせることで、お肉の旨味をしっかりと引き出す香り高いソースに仕上げました」(村井さん)。
【日清フーズ「青の洞窟 ボロネーゼ」のポイント】
・ハーブや香辛料の爽やかな香り
・トマトの酸味とひき肉の旨味、赤ワインのコクのバランスが◎
・ひき肉がたっぷり入っていて食べ応えあり
有名シェフ監修の本格派 S&B「予約でいっぱいの店のボロネーゼ」
イタリアンの第一人者でもある銀座「ラ・ベットラ」落合シェフ監修のこちらのボロネーゼは、2001年に発売され、2018年に現在の形にリニューアルされた商品。パスタソースのほかにパルメザンチーズが添えられており、パスタと和える際にチーズを混ぜるのがおすすめだそうだ。
牛ひき肉は粗挽きになっており、食べてみると肉の存在感がしっかりと感じられた。完熟トマトやにんじん、セロリなども歯ごたえが残っているので、1つ1つ丁寧に作られた王道のボロネーゼという感覚がある。トマトのフレッシュさ、たっぷりのパルメザンチーズのコクが合わさりつつ、食材のそれぞれの旨味がしっかりと感じられるが、濃厚すぎずスッキリとした後味。粗びきの牛肉は食べ応えがあるのもうれしい。
「お肉が主役の小さなシチューのようなパスタソースです」と話すのは、同社広報ユニット 田代真春さん。「落合シェフ監修の下、素材のおいしさを引き出す調理法を採用しており、実在の店舗にあるメニューの高級感・特別感を手軽に味わえるシリーズ自体のコンセプトが、食にこだわるお客様を中心に好評です。このボロネーゼでは『オーソドックスな本物の味わい』を味わっていただきたい」(田代さん)と説明する通り、ボロネーゼを食べたいという人の気持ちをしっかり満たしてくれるパスタソースだ。
【S&B「予約でいっぱいの店のボロネーゼ」のポイント】
・添付のパルメザンチーズで濃厚なコクを堪能できる
・粗びきの牛肉、トマトやチーズなど素材の旨味が生きている
・濃厚すぎず、ほどよいスッキリ感のオーソドックスなボロネーゼ
肉料理を食べる感覚 日本製粉「REGALO ボロネーゼの真実」
2017年に発売された「REGALO(レガーロ)」シリーズのパスタソース。今年2月のリニューアルでは使用している肉を合ひき肉から牛ひき肉に変更しており、赤ワインとチーズで香り高く仕上げたのが特徴だという。
開封後、真っ先に鼻孔を刺激したのは、牛肉と胡椒の香り。ソースの色がボロネーゼとしては濃いめでトロリとして、パスタともよく絡む。食べてみると牛肉の旨味が前面に出ており、まるで肉料理を食べているような贅沢で奥深い味わいだ。赤ワインとチーズの豊かな香りに加え、ピリッときいた胡椒が牛肉の旨味を引き立てる、まさに肉が主役のボロネーゼ。赤ワインと一緒に楽しんだり、ラザニアなど他の料理にもアレンジしてみたい味わいだ。
同社開発本部商品開発部 企画開発グループの永野篤さんは「ワインの風味をより感じられるよう、ソースを仕込む際の前半と後半の2回に分けてワインを加えています。牛肉を炒める際には香辛料と香味野菜を加えることで、肉本来の旨味を引き立てました」と話す。「結婚祝い、ホームパーティーなど、特別なおうちごはんの日に役立てていただきたい、大人のパスタソースです」(永野さん)とのこと。牛ひき肉の濃厚な旨味は家庭ではなかなか再現できない味わいだと感じた。肉料理を食べたいときにもおすすめの一品だ。
【日本製粉「REGALO ボロネーゼの真実」のポイント】
・牛ひき肉の旨味が濃い、肉が主役のソース
・赤ワインやチーズ、胡椒がきいている
・家庭では再現できないような本格的な味わい
パスタソースとしては定番のボロネーゼは、食べ比べてみると想像以上に違いがあるうえ、どれも手間暇をかけられた味わいだった。これが手軽に味わえると考えると、コスパもよさそうだ。食べる時間帯やシーン、好みによって使い分けるなどして、便利なパスタソースを活用してみては。
※価格はすべて税抜き