昇級枠は2つ。残り1つを佐々木勇気七段、及川拓馬六段、石井健太郎五段で争う

3月3日に第78期順位戦C級1組(主催:朝日新聞社、毎日新聞社)の10回戦が、東西の将棋会館で一斉に行われます。約1年に渡る戦いもいよいよ最終局。注目ポイントは、3人に絞られた昇級争いと、すでにB級2組への昇級を決めている藤井聡太七段が全勝を達成するかです。

9回戦終了時点での上位の成績は以下の通りです。(かっこ内の数字は順位)

9勝0敗:藤井聡太七段(3)
8勝1敗:佐々木勇気七段(14)、及川拓馬六段(32)、石井健太郎五段(34)
7勝2敗:都成竜馬六段(20)

7勝最上位の都成六段は佐々木七段よりも順位が低いため、残る1つの昇級枠は8勝の3人で争うことになります。佐々木七段は勝てば文句なしの昇級。負けても及川六段、石井五段がともに負ければ昇級です。及川六段と石井五段は自身が勝った上で順位上位者が負ければ昇級となります。

注目の4人の対戦カードは以下のようになっています。

▲真田圭一八段-△藤井聡太七段
▲宮田敦史七段-△佐々木勇気七段
▲及川拓馬六段-△高崎一生六段
▲石井健太郎五段-△西尾明七段

8勝の順位最上位の佐々木七段は史上5人目の中学生棋士となる可能性がありましたが、惜しくも1期間に合いませんでした。その後藤井七段が5人目の中学生棋士となったのはご存知の通りです。その藤井七段の公式戦30連勝を阻止し、デビュー後初黒星を付けたのが佐々木七段でした。また、現在進行中の第33期竜王戦ランキング戦2組では準決勝まで勝ち進んでおり、あと1つ勝てば1組昇級。大活躍が期待される若手棋士の一人です。

対戦相手の宮田七段は詰将棋の名手として知られ、詰将棋解答選手権では6度の優勝経験があります(藤井七段は5度)。また、石井五段の兄弟子でもあり、弟弟子の援護射撃をしてあげたいところです。

及川六段と石井五段はともに前期C級2組から昇級したばかり。2期連続の昇級を目指します。及川六段は10連勝、石井五段は8勝2敗の成績だったため、C級1組での順位が及川六段のほうが良くなっています。前期の戦いも影響してくるのが順位戦。佐々木七段がもし敗れることになれば、この差が響いての決着……という展開もあるかもしれません。

全勝を目指す藤井七段は真田八段との対戦。前期は9勝1敗の成績を収めながら、順位の差で惜しくも昇級を逃した藤井七段でしたが、今期は9連勝で昇級をすでに決めています。順位戦の成績は28勝1敗で、勝率は9割6分6厘と圧倒的。さらに勝率を上げるのでしょうか。また、本局に勝てば今年度勝率がぴったり8割(未放映のテレビ対局を除く)になります。

真田八段の得意戦法は矢倉です。本局も▲7六歩△8四歩▲6八銀と進行し、矢倉の出だしとなりました。相手の得意戦法を真っ向から受けて立った藤井七段ですが、それもそのはず。この3手から始まった公式戦における、藤井七段の後手番勝率は驚異の8割8分8厘で、デビュー以来2局しか負けていないのです。

藤井七段は全勝を達成して昇級に花を添えるのでしょうか。また、最後の1枠をつかみ取るのは果たして誰になるのでしょうか。持ち時間6時間の順位戦が終局するのは、午後10時前後の見込みです。

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3月3日16:48誤植がありましたので修正致しました。
記事初出時、「▲7六歩△*3*四歩▲6八銀」としておりましたが
「▲7六歩△*8*四歩」当該部分を訂正させていただきました。
ご迷惑をお掛けした読者の皆様、ならびに関係各位に深くお詫び申し上げます。

全勝昇級を目指す藤井七段
全勝昇級を目指す藤井七段