米Facebookは3月2日 (現地時間)、新しいiOSアプリ版「Messenger」のロールアウトを開始した。数週間中に全てのiOSアプリ版ユーザーにアップデートが提供される。これはProject LightSpeedというMessengerを再構築するプロジェクトで開発が進められていたもので、新版は大幅に軽量でシンプルな構造になった。サイズはオリジナルの1/4、前バージョンの半分の時間でロードする。
モバイル版のFacebookアプリから切り離されて単独で利用できるようになってから、Messengerアプリにはゲームやメッセンジャーボット、モバイル決済など様々な機能が追加され、バイナリサイズが130MBを超える巨大なアプリになっていた。しかし、ユーザー調査おいて7割以上のユーザーが「シンプル」であることを強く求めており、そうした声に応えてFacebookは2018年にメッセンジャーとしての原点に回帰するようなシンプルなユーザーインターフェイス (UI)にMessengerアプリを刷新した。
今回の刷新はアーキテクチャの刷新であり、コードベースを書き直した。170万行を超えていたコードは84%も削減されて36万行になった。小型化によって、App Storeからダウンロードまたはアップデートする時間が従来より大幅に短くなる。
小型化とパフォーマンスの向上を実現するために、新版は可能な限りモバイルOSのフレームワークを利用している。OSの機能が条件を満たさない場合でも、必要を満たすために追加するライブラリコードが最小限になるように努めた。これまではコンタクトリストのスクリーンだけで40以上のバージョンがあるなど、同じUI体験でも複数のバージョンが存在したが、新しいMessengerは1つのダイナミックなテンプレートでUIを再利用する。複数のUIを用意しなくても、縦向き/横向き、ダークモード、機能の追加や変更など様々なケースに、シンプルに対応できる。ほかにも、従来のモバイルアプリのようにストレージデータベースで複数の独立した機能を管理するのではなく、デスクトップソフトのようにユニバーサルシステムとして全ての機能をサポートするようにSQLiteを活用している。
主要な機能は以前と同じようなリッチな体験で使用できるが、再構築によって一時的に使えなくなる機能がいくつかあり、今後はそうした機能を整えていく。また、シンプルな構造になったMessengerが再び肥大化しないように機能ごとのバジェットを設定、今後はアーキテクチャの原則に従ってバジェットを厳守するルールを設けた。
LightSpeedはOS機能と連携するため、クロスプラットフォームで同じものを提供するのが難しくなるのが短所になる。Android版の同様のアップデートの提供については現時点で明らかにしていない。