大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)と住友商事は2日、複数の携帯電話事業者向けに提供する5G基地局の地下空間での2021年度中の実用化をめざし、御堂筋線心斎橋~なんば間で実証実験を2020年10月から実施(予定)すると発表した。鉄道トンネル内での5G基地局シェアリングの実証実験は日本初とのこと。
5Gは超高速・大容量・低遅延の通信を実現する次世代通信技術であり、モビリティ分野や医療分野など、さまざまな産業での活用が期待されている。一方、周波数の特性上、4Gと比べてより多くの基地局の設置が必要となり、現在は関東においてもとくに地上での基地局整備が先行している。将来的に全国で5Gサービスが展開されるためには、その他の地域や地下へも着実に基地局を整備する必要がある。
大阪市高速電気軌道と住友商事は、今回の実証実験において、御堂筋線の心斎橋駅からなんば駅までの区間で鉄道トンネルや駅構内などに5G基地局を設置し、複数の携帯電話事業者向けに基地局シェアリングを行う。高低差等によって電波が遮断されやすい鉄道トンネルにおいて、基地局間の接続性を検証するほか、車内や駅構内の映像を5Gでリアルタイムに伝送し、防犯や混雑状況の把握に活用することが可能か検証する。
なお、大阪市高速電気軌道は基地局の設置場所の提供、ラックや電源、光ファイバー回線といった基地局の土台となるネットワークの構築など、住友商事は5G共用アンテナシステムなどの開発と調達を行う。
大阪市高速電気軌道は、この実証実験で得られた成果を同社グループの地下空間(地下鉄と地下街)に展開することで、大阪・関西万博に向けて早期に5Gへ適応した最先端の通信インフラ環境を整備していく。住友商事はこれまで東急や東京都港区と連携し、5G基地局シェアリングの実証実験を推進しており、今後も企業や自治体などと連携し、早期の5Gネットワーク整備に貢献すべく検討を進めていく。