長谷川博己が戦国武将・明智光秀を演じるNHK大河ドラマ『麒麟がくる』(毎週日曜20:00~)で、ヒロイン・駒役を好演しているのが、今や演技派女優としての安定感を見せる門脇麦だ。オリジナル脚本ということで、光秀とは身分違いの駒が、今後、彼の人生とどう関わっていくのかも気になるところ。門脇にインタビューし、駒の魅力について聞いた。
脚本を手掛けたのは、大河ドラマ『太平記』を手掛けたベテラン、池端俊策氏。若くて精悍な光秀をはじめ、“美濃のマムシ”と言われた斎藤道三(本木雅弘)や、まだ青い織田信長(染谷将太)など、戦国時代の英傑たちの黎明期を描く。彼らに、駒や医師の望月東庵(堺正章)、農民の菊丸(岡村隆史)といったオリジナルキャラクターを絡ませることで、庶民の目線もしっかり描き、ドラマをより立体的に魅せていく。
――脚本を読んだ時の感想から聞かせてください。
読み物として純粋にすごくおもしろいので、早く次が読みたくてしかたがないという感じです。今回の試みとして、新しい光秀像や信長像を描くということで、私の演じる駒役もそのために存在しているのではないかと。こういう描き方もあるんだ! とか、もしかしたらこうだったのかもしれないとか、だんだんオリジナルのキャラクターが、後半で利いてくると思います。
――オリジナルキャラクターならではの魅力があるということですね。
やはり歴史というのは勝者が作ってきたもので、残っている書物などもそちら側から描かれている歴史にすぎないのではないかと。池端さんは、どちらにも偏らない目線で世の中を見つめる眼差し、史実に名を残していないけどたくさんの人物が関与していたことを丁寧に描こうとされているのかなと思います。
――4Kということで、鮮やかな衣装も話題です。
新しい大河ドラマということで、これまでの時代劇では見られない衣装もけっこうあると思いますので、そこも含めて楽しんでいただけたらと。当時の人たちは実際に鮮やかな着物を着ていたという記録があるようです。
――第1回では駒が、タイトルの麒麟について「戦のない穏やかな国にやってくる不思議な生き物」と、光秀に告げる大役を果たしましたね。
題名を言わせていただけることなんて、なかなかないと思います。今後も、駒は度々、不思議な話をするシーンがありますが、長谷川さんとは「駒はときどき、シャーマンとか巫女さんみたいに見えるときがある」と話したりしています。
――駒として、当時の医療に携わってみていかがですか?
戦国時代の医療行為って、薬草を煎じたりするしかなかったようで、戦で負傷した人たちにも、とにかくお水をかけるだけという描写があります。毒矢などを抜いたりしても、どうにもならない。あとは軟膏を塗ったりするだけと、できることは限られているので、思うところはいろいろあります。
――とても光秀が魅力的なので、駒にも恋心のようなものが芽生え始めます。演じていていかがですか?
すでに切ないシーンが多いです。きっとこの恋心が、ずっと十兵衛(光秀)を支えていきたいという気持ちにだんだん変わっていくのかなと。ビジネスパートナーのような、そういう方向で支えていく、そんな関係性になるのではないかと思っています。今は切ないので、早くそういう関係になりたいです(笑)
――駒は光秀にとってどういう存在になっていくのでしょうか?
最初にプロデューサーからは、「初めのうちは駒は妹分」と言われました。ヒロインと聞けば、イメージ的には恋仲になったり、将来のパートナーになったりするけど、今回はそことは違うヒロイン像なのかなと。やはり光秀は戦略家で、政治で世を作って行く人です。そして駒は医療に携わり、これからどうなっていくのかはわからないけど、その分野で世に貢献していく人なのかなと。ヒロインとか、相手役というよりは、物語のもう1本の柱にならせていただければという感覚のほうが強いです。
門脇麦(かどわき・むぎ)
1992年8月10生まれ、東京都出身。2014年、三浦大輔監督の映画『愛の渦』でヒロインを務め、注目される。その後、テレビ、CM、舞台で幅広く活躍。主な映画出演作に『太陽』(16)、『二重生活』(16)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(17)、『花筐/HANAGATAMI』(17)、『ここは退屈迎えに来て』(18)、『止められるか、俺たちを』(18)、『チワワちゃん』(19)、『さよならくちびる』(19)など。大河ドラマは『八重の桜』(13)にも出演。
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