渡辺明三冠が全勝達成なるか!? 羽生-佐藤のゴールデンカードも実現! 残留争いも熾烈!
2月27日に静岡県静岡市「浮月楼」で、第78期A級順位戦(主催:朝日新聞社、毎日新聞社)の最終局である、9回戦が行われます。A級順位戦最終局の日は「将棋界の一番長い日」とも呼ばれ、毎年名人挑戦や残留、来期の順位を懸けてトップ棋士が熱戦を繰り広げます。
対戦カードは以下の通りです。
▲渡辺明三冠(8-0)-△三浦弘行九段(4-4)
▲佐藤康光九段(4-4)-△羽生善治九段(4-4)
▲木村一基王位(3-5)-△広瀬章人八段(5-3)
▲佐藤天彦九段(3-5)-△稲葉陽八段(4-4)
▲糸谷哲郎八段(3-5)-△久保利明九段(2-6)
【渡辺三冠-三浦九段戦】
8勝0敗という圧倒的な成績で、すでに名人挑戦を決めている渡辺明三冠。もし最終戦も勝利し、全勝達成となれば、中原誠十六世名人(第26期、8連勝)、森内俊之九段(第62期、9連勝)、羽生九段(第70期、9連勝)に続いて4人目の快挙達成です。
両者は第76期A級順位戦の最終局でも対戦しています。両者4勝5敗(この期は11名のリーグ)で、敗れたほうがB級1組へ降級という大一番を制したのは三浦九段でした。渡辺三冠はこの敗戦以降現在まで順位戦負けなしの20連勝中です。
【佐藤康九段-羽生九段戦】
ここまで161局の対戦がある、平成のゴールデンカード。対戦成績は羽生九段の107勝54敗です。順位戦での対戦は17局(プレーオフ含む)で、羽生九段の12勝5敗。長くトップを走り続けている両者の対局は熱戦が多く、本局も好局が期待されます。
【木村王位-広瀬八段戦】
3勝5敗の3人のうち、最も順位が悪いのが木村王位。残留するためには自身の勝利が最低条件です。一方の広瀬八段は、勝てば自己最高順位の2位で来期のA級順位戦を迎えることが決まります。
【佐藤天九段-稲葉八段戦】
両者は第75期名人戦七番勝負で名人位を争っています。第4局までは2勝2敗で互角の戦いでしたが、第5局、第6局を当時の佐藤天名人が連取して防衛。名人2連覇を達成しました。
さらに翌期も名人を防衛し、連覇を3にまでのばした佐藤天九段は、第77期で豊島将之竜王・名人に名人を奪取されてしまいます。再起を期した今期でしたが、思わぬ不振でまさかの残留争いに。名人陥落から1期でB級1組への降級は過去にはありません。不名誉な記録は打ち立てたくないところです。順位が最もよいため、佐藤天九段が降級となるのは、自身が敗れた上に、木村王位と糸谷八段がともに勝利した場合のみです。
【糸谷八段-久保九段戦】
すでに降級が決まってしまっている久保九段と、残留争い中の糸谷八段の対決。糸谷八段は自身が勝利すれば無条件で残留、敗れても木村王位の敗戦で残留が決まります。久保九段としても来期B級1組を順位1位で迎えられる可能性があるだけに、負けるわけにはいきません。
例年、深夜にまで及ぶ熱戦が繰り広げられる「将棋界の一番長い日」。今年もどのような名局が誕生するでしょうか。楽しみでなりません。