ホンダは2月22日、Hondaウエルカムプラザ青山(東京・渋谷区)で「2020年 Honda スーパーバイク選手権チームローンチ」を開催した。当初は一般公開が予定されていたものの、新型コロナウイルスの影響を考慮してメディア向けイベントとなった今回の発表会。ファンに変わって、その全貌をチェックしてきた。
レーシングマシンの性能と魂を市販車に注入
ホンダが18年ぶりにファクトリーチームの参戦を発表したSBK。レース専用バイクが覇を競う二輪ロードレースの最高峰「FIMロードレース世界選手権」とは異なり、ベースとなるのは市販車だ。世界最速の市販車決定戦と考えていいだろう。
市販車によって競われることから、ビルダーによるプライベートチームも参加しやすいのがSBKの特徴だが、レギュレーションは年々厳格化されており、参加する車両は近年、より市販車に近い形となってきている。そのため、大きな技術革新が見込めそうにないSBKで、ホンダのファクトリーチームを再び見ることはないものと勝手に思っていた。そんな中、ホンダがSBKへのカムバックを発表した。
今回のプロジェクトは長年の計画が実現したものと説明した安部氏。「レースは私共のDNAの1つです。これは、ホンダがスピードを競うのが大好きであるというだけではなく、我々の製品開発やエンジニア育成にとっても非常に重要な要素です」と参戦の意義を語った。
SBKに投入する「CBR1000RR-R FIREBLADE SP」も当然、ベースは市販車だ。しかし、その開発には初期段階からHRC(ホンダレーシング)のライダーやスタッフが加わり、開発スタッフと一丸となってバイク作りを進めたという。
その結果、「CBR1000RR-R FIREBLADE SP」が搭載する新設計の直列4気筒エンジンは、レースマシンである「RC213V」のV型4気筒エンジンとボア・ストロークが同寸になるなど、構成が酷似している。このほか、燃焼効率やフリクションロスの最適化など、随所にモトGPマシンの技術が流用された。これらの事実1つを取っても、レースで得た知見が市販車開発に大きな影響を与えていることがよく分かる。
であれば、より市販車に近いレギュレーションが要求されるSBKほど、「CBR1000RR-R FIREBLADE SP」のパフォーマンスをテストするのにふさわしい場所もないといえる。いわば、ホンダの復帰は当然の帰結だったのだ。
プレゼンテーションの最後に安部氏は、「チャレンジは厳しいものになると思いますが、個人的には自信を持っています。最初のレースからいい結果を期待しています」とコメント。ファンの後押しをリクエストして降壇した。
なお、今回の発表会の模様はYouTubeで配信されている。安部氏降壇後に行われた各選手インタビューなども収められているので、ぜひチェックしてみてほしい。18年ぶりにホンダが帰ってくる今年のSBK。モータースポーツファンのみならず、ホンダの市販車の今後が気になる方も要注目だ。