みなさんは炭酸飲料を飲みますか? 最近は健康志向の高まりから、無糖の炭酸水がちょっとしたブームのようです。そんな炭酸飲料、やはり有名なのはコカ・コーラ、もしくはペプシ・コーラあたりでしょうか。
しかし、ビールにクラフトビールがあるように、コーラにもクラフトコーラがあるのです! その専門店である、「伊良(いよし)コーラ」が2月28日より、高田馬場の隣となる下落合に総本店をオープン。
オープン前の店内を訪問できたので、紹介します。
伊良コーラ誕生の背景
案内状に従い、西武新宿線の「下落合駅」で下車し、川沿いの道を進みます。「どうみても普通の住宅街、この道で合ってるのか?」と半信半疑の筆者。ほどなくすると、伊良コーラのロゴが目に飛び込んできました。
総本店は、本当に普通の住宅街の一角に位置しています。実はこの場所、伊良コーラの代表・小林隆英さんの祖父である、伊東良太郎さんの和漢方工房「伊良葯工(いよしやっこう)」の跡地。
小林さんは、和漢方職人だった祖父の薫陶を受け、幼いころから薬草の混ぜ合わせなど手伝いを行っていたそうです。そして、大学では農学部で分子生物学を専攻し、いろいろな実験を行っていたこともあり、さまざまなスパイスを煮詰めて調合し、ひとつの完成物を目指すコーラ作りは似た面白さを感じたそう。
クラフトコーラという世界で勝負しようと小林さんが考えたのは、自然の流れだったのかもしれませんね。
伊良コーラのこだわりとは
伊良コーラは、コーラの実と10種類以上のスパイスとかんきつ類をブレンドしてできるオリジナルのクラフトコーラ。スパイスを利かせつつ、優しいフレーバーも楽しめるのが特徴です。
小林さんに店のこだわりを聞くと、「店内の棚や機材などは、祖父の時代のものを修理して利用しています。また店の「のれん」は近所にある友禅職人さんと、染め物職人さんに制作してもらっています」と話します。
この辺りは、昭和30年代まで300軒を超す染色関連業が集まり、京都・金沢と並ぶ三大産地で、現在も落合・中井には染工房が点在しています。
小林さんは、そうした「モノづくり」の歴史ある場所に店をオープンしたこともあり、ゆくゆくは店の前の小道を「コーラ小道」として地場産業としてクラフトコーラを根付かせたいと抱負を語ってくれました。
伊良コーラがもたらす懐かしさとこだわりの世界
そんな小林さんがこだわりを持って作る伊良コーラ。筆者も飲んでみました。作ってもらったのは「THE DREAMY FLAVOR」(税込500円)という定番のもの。
コーラの実、カルダモン、シナモン2種、オレンジピール、黒胡椒、コリアンダーシード、ラベンダー、バニラビーンズ、エゾウコギ、ナツメグ、ジンジャー、クローブを調合して原液(シロップ)ができるそうです。
ちなみにコーラの原液1対炭酸水3の割合で厳密に配合され、毎回きっちりと計測して提供されています。まさに職人のこだわりが全開! クラフトコーラ(職人のコーラ)という名前にふさわしい工程を経て、提供されていますね。
それでは飲んでみましょう! 底に溜まった原液と炭酸水をよくかき混ぜて飲みます。口に含んで感じるのはスパイスの風味。ただ、強い刺激ではなく、なんだか懐かしさを伴います。これは漢方の素材が効いているのでしょう。飲んだ後の後味もスッキリしています。夏バテしている真夏日に飲んでみたいと強く思いました。
なお、他のクラフトコーラでは、山椒や柚子をいれた「THE JAPAN EDITION」(税込550円)、別メニューではチーズフォンデュならぬ「COLA FONDUE」などがあります。
また、自宅で気軽に楽しめるよう原液も販売され、小瓶100ml(税込1,200円)、大瓶250ml(税込2,950円)で提供されています。
訪問して感じたのは、商品だけでなく、店舗全体にまで至る小林さんのクラフトマン魂。紹介したもの以外にも、スタッフの制服やネオン看板など、すべて小林さんのコンセプトから誕生しているそうです。
ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルは、コカ・コーラを大量消費の象徴として紹介しましたが、同じコーラでも真逆の存在となるのがクラフトコーラです。
効率が求められる今の時代、あえて非効率ともいえる職人技の世界を楽しむのも良い経験になるのでは?