パナソニックは、テクニクスブランドの完全ワイヤレスイヤホン「EAH-AZ70W」を4月中旬より発売する。価格はオープンプライスで、店頭価格は税別31,000円を見込む。カラーはブラックとシルバーの2色。
EAH-AZ70Wは、米ラスベガスで1月に開催された「CES 2020」に合わせてパナソニックが海外発表した、テクニクス初の完全ワイヤレスイヤホン。“業界最高クラス”をうたう「デュアルハイブリッドノイズキャンセリング」技術を搭載しているのも特徴だ。今回、国内での正式な発売日と価格が決定した。
なお、パナソニックブランドからも初めての完全ワイヤレスイヤホン「RZ-S50W」、「RZ-S30W」を4月中旬に発売予定で、詳細は後述する。山本敦氏による製品レビューもあわせてチェックしてほしい。
テクニクスの音を追求した完全ワイヤレス、強力NCも搭載
EAH-AZ70Wは、完全ワイヤレスイヤホンでは大口径となる10mm径の新開発ダイナミック型ドライバーユニットを搭載。グラフェンコートを施したPEEK素材の振動板を備えており、強度を高めて振動板自体の不要な振動を抑制。「高域の伸びや抜け、艶のあるボーカル」を再現した。
さらに、イヤホン内部のユニット後部に、ドライバー前後の空気の流れを精密にコントロールする「アコースティックコントロールチャンバー」を配置。空気の流れが最適になるような音響構造により、ドライバーの持つ低域から高域までの広帯域再生能力を引き出すもので、テクニクスの高級イヤホン「EAH-TZ700」(2019年発売)でも採用している。
EAH-AZ70Wのサウンドを短時間ながら試聴した。音にこだわった機構に加え、音質のチューニングもさらに重ねられたことで、CES 2020開催時に現地で聴いたときよりも中高域の抜けの良さやきらびやかさがアップし、音の拡がり感や見通しの良さが向上。安室奈美恵「Hero」のようなポップなサウンドだけでなく、オーケストラやアコースティックギターの音源にも合いそうだと感じた。後述するNC機能と組み合わせても音の鮮明度は変わらず、上質なサウンドが楽しめた。
小さなイヤホン本体に、“業界最高クラス”をうたう「デュアルハイブリッドノイズキャンセリング」技術を搭載していることも特徴。外側のマイクで周囲のノイズを取り込んで大幅に減らすフィードフォワード方式ではデジタル制御、内側のマイクで取り込んだノイズを減らすフィードバック方式ではアナログ制御を採用し、両方を組み合わせることで高精度なノイズ低減処理を行う。
飛行機内のエンジン音が響く環境を再現したデモでは、EAH-TZ700のNC機能をオンにすると周囲のノイズがスッと消え、流れている音楽の細かい音まできちんと聞き取れることを実感した。イヤホンを耳に付けたまま外の音を聴く「外音取り込み」にも対応しており、この場合は人の話し声が不自然に響かずにはっきりと聞き取れた。パナソニックでは、デジタル処理の弱み(大きなデータの処理遅延)をスピードの速いアナログ処理で補うことで、業界最高クラスのNC性能を実現したと説明している。
Bluetooth 5.0に準拠し、コーデックはSBCとAACをサポート。新開発の「タッチセンサーアンテナ」を搭載し、無線の指向性を最適化して安定したワイヤレス接続を実現するという。タッチセンサーアンテナは、イヤホンの外側にある音楽再生/停止/曲送り/着信応答などの各種操作用タッチセンサーとBluetoothアンテナを共用化したもので、基板もアンテナ化し、コンパクトなサイズに収めている。SiriやGoogleアシスタントといった音声アシスタントを起動することも可能だ。
左右イヤホンのオーディオ信号を独立して受信する伝送方式を採用し、左右イヤホン間の接続を不要にした。対応するAndroidスマートフォンとの組み合わせが必須のクアルコム「TrueWireless Stereo Plus(TWS+)」とは異なり、OSを選ばずさまざまなスマホとの間で途切れにくい接続を実現。aptXコーデックには対応していないが、「動画視聴時の音声ズレも抑えた」としている。
通話機能に関しては、パナソニックの電話機の開発ノウハウを応用し、屋外でもクリアな通話を実現。MEMSマイクやビームフォーミング技術によって、2つの通話用マイクで送話の音声をクリアにしつつ、声とそれ以外の音を区別してノイズを減らす。また、MEMSマイクに音が伝わるまでの空気の通り道を迷宮のように複雑化させた「ラビリンス構造」で風が当たりにくいよう工夫し、風切り音を減らした。
iOS/Androidアプリ「Technics Audio Connect」で、ノイズキャンセリング機能や外音取り込みの設定が行え、それぞれ100段階のレベル調整が可能。低音を強化する「バスエンハンサー」や、イコライザーによる音のカスタマイズ、バッテリー残量確認、イヤホンを紛失しても探せる機能などを備えている。対応OSはiOS 9.3以降と、Android 6.0以降。
イヤホン本体はIPX4相当の防滴仕様。AACコーデック使用時の連続再生時間は、ノイキャンオン時が約6.5時間、オフ時が約7.5時間。付属の充電ケースと組み合わせると、ノイキャンオフで最大22.5時間音楽を聴ける。ケースの充電端子はUSB Type-C。重さはイヤホンが片耳約7g、ケースが約65g。S/M/L/XLの4サイズのイヤーピースが付属する。
強力NCのパナソニック完全ワイヤレス、手ごろなエントリーも
パナソニックブランドの完全ワイヤレスイヤホンは、上記のテクニクス完全ワイヤレスと同等の強力なノイズキャンセリング機能を備えた「RZ-S50W」(税別21,000円前後)と、NC非搭載の小さなエントリーモデル「RZ-S30W」(同13,000円前後)を用意。どちらも4月中旬に発売する。
RZ-S50Wには8mm径、RZ-S30Wには6mm径のダイナミック型ドライバーを搭載。上位のRZ-S50Wはバイオセルロース素材の振動板を採用し、「締まりのある豊かな低音と明瞭なボーカル」を実現する。どちらもイヤホン内部の空気の流れを最適化する仕組みも装備している。
Bluetooth 5.0に準拠し、コーデックはSBCとAACをサポート。タッチセンサーアンテナを搭載し、無線の指向性を最適化して安定したワイヤレス接続を実現する。左右イヤホンのオーディオ信号を独立して受信する伝送方式も採用。RZ-S50WはEAH-TZ700と同等のNC機能や、音声通話用の高精度なビームフォーミングマイクを備えている。スマホアプリ「Panasonic Audio Connect」からの各種操作にも対応する。
イヤホン本体はどちらもIPX4相当の防滴仕様。付属の充電ケースでイヤホンを充電でき、充電端子はUSB Type-C。
RZ-S50Wの連続再生時間(AACコーデック使用時)は、ノイキャンオン時が約6.5時間、オフ時が約7.5時間。充電ケースと組み合わせると、ノイキャンオフで最大22.5時間音楽を聴ける。重さはイヤホンが片耳約7g、ケースが約45g。S/M/L/XLの4サイズのイヤーピースが付属する。
RZ-S30Wの連続再生時間(AACコーデック使用時)は約7.5時間で、充電ケースと組み合わせると最大約30時間聞ける。重さはイヤホンが片耳約4g、ケースが約45g。XS/S/M/Lの4サイズのイヤーピースが付属する。