Huaweiは24日(現地時間)、スペイン・バルセロナで新製品の発表会を開催し、折りたたみスマートフォンの新製品「HUAWEI Mate Xs」や5G対応タブレット「HUAWEI MatePad Pro」などを発表しました。現地で新製品のタッチ&トライが開催されたので、ここではMate Xsのインプレッションをお届けします。

  • Huaweiの発表会は、バルセロナにあるイベント会場であるイタリアンパビリオンで開催。通信関連の展示会であるMWCで、Huaweiが例年発表を行っている会場です。MWC 2020は中止になりましたが、Huaweiだけは現地で発表会を開催しました

まずはこちらから動画で解説

広げて8インチ、外観は前モデルとほぼ同じ

Mate Xsは、昨年発表した折りたたみスマートフォンの「HUAWEI Mate X」の後継モデルです。Mate Xは閉じた状態では6.6インチOLEDを備えたスマートフォン、開くと8インチタブレットとして使える折りたたみスマートフォンです。SamsungのGalaxy Foldと同時期に登場し、ディスプレイを内側にして折りたたむFoldと、外側にして折りたたむMate Xという、お互いの考え方の違いを示した製品でした。

  • Mate Xs。折りたたんだ状態では普通のスマートフォンと言ってもおかしくないサイズです

  • 開くと8インチタブレットに

Mate Xsは、従来通りディスプレイを外側にして折りたたむタイプ。画面の真ん中ではなく、やや左にずれた位置で折りたたむため、メインディスプレイ側は6.6インチ、裏側のセカンドディスプレイは6.38インチになります。開くと8インチで、OLEDを採用している点は従来通りです。

  • 折りたたむ方向は山折り。ディスプレイが外側になります。Galaxy Foldのように背面にディスプレイがない分、本体の薄型化ができています

折りたたみスマートフォンは、Samsungが縦折りのGalaxy Z Flipを発表していますが、Huaweiは従来モデルを強化した製品です。形状は変わらず、折りたたみの仕組みも同じです。本体サイズもまったく変わりません。

  • USB Type-C端子を搭載した一部分だけ膨らんでおり、そこに折りたたんだディスプレイがスッキリと収まる形状。これによって、折りたたんだ状態でも分厚くなりすぎない構造です

  • こちらが折りたたんだ状態

  • 側面には電源ボタン一体型指紋センサーを搭載

  • 背面にはカメラを搭載しています

折りたたんだ状態で本体背面にあるボタンを押すとバネによって折りたたみが解除され、そこから手動で開くと、カチッというメカニカルな感触でタブレットモードになります。開いた状態では、画面の折り目もほとんど感じず、フラットなタブレットとして使えます。

  • 背面にあるボタン(赤いラインのあるボタン)を押すと、途中までディスプレイが開きます。ワンタッチオープンボタンのようですが、最終的には手動で開く必要があります

  • 開いても折り目にシワも見えず、フラットなタブレットになります

2つのアプリを「ウィンドウ」で同時起動

機能としては、2つのアプリを同時に起動するマルチウィンドウ機能を搭載。画面の左右の端から内側にスワイプするとアプリランチャーが起動し、アプリのショートカットを押すとアプリがウィンドウとして起動。長押しすると、画面を分割して起動することができます。8インチのタブレットなので、2つのアプリを同時に起動しても十分な画面領域が確保され、実用的です。3つ目のアプリはウィンドウとして起動することができます。

  • 8インチの大画面を生かした視認性の高さ

  • アプリをウィンドウとして同時起動できます

  • 2つのアプリを並べて表示。スマートフォンサイズのウィンドウ表示になるので、使い勝手は悪くありません

  • アプリをどう分割するか、サイズの変更も可能です

それぞれのアプリ間はドラッグ&ドロップでデータをやりとりしたり、分割領域を変更したりできます。Android 10ベースでアプリの同時起動が可能になったため、マルチウィンドウがより便利になりました。

Leicaと協業したクアッドカメラを継承

カメラは従来通り独ライカカメラとの協業によるクアッドカメラを搭載。メインはセンサーが40MPのカメラで、開放F1.8の広角レンズを搭載。さらに16MPの超広角カメラ、8MPの望遠カメラを備え、距離を測定するToFカメラも搭載しています。

折りたたんだ状態で自撮りモードに切り替えると、カメラ側のセカンドディスプレイがファインダー画面となり、このメインカメラを使った自撮りが可能になります。

  • 背面に搭載するカメラは4つ。一つは距離測定用のToFカメラです。今回も名門カメラメーカーのライカと協業して「VARIO SUMMILUX-H 1:1.8-2.4/17-80 ASPH.」を搭載します

  • 折りたたみできるので、こうして自立しての撮影も可能です

  • スマートフォンモード(左)、タブレットモード(右)のどちらでもカメラは利用可能。それぞれに適したUIに変化します

基本的に、このセカンドディスプレイはカメラのファインダーとして起動しますが、ここからホームボタンを押すとホーム画面になるので、セカンドディスプレイをそのまま普通のスマートフォンとして操作可能です(ただしメインディスプレイと比べ表示領域が狭くなり、あまり意味はないようです)。

  • 自撮りボタンをタッチすると本体を回転させるように指示が表示され、カメラを自分側に向けると、自動的にセカンドディスプレイが点灯してファインダーとして機能します

  • 撮影画像もそのまま確認できます。下部にメインのディスプレイに切り替えるアイコンが表示されており、ここにタッチすると、再び本体を回転させるよう指示が表示されます

  • 下部のホームボタンを押すと、そのままホーム画面に戻りますので、普通のスマートフォンとしても使えます。ただ、画面領域が狭くなるので、あまり意味はないでしょう

Googleサービスはなし、アプリは独自ストアから

Mate Xとの違いはあまり多くはないため、あまり驚きはありません。完成度を高めたモデルと言えるでしょう。ただし、GMS(Google Mobile Service)を搭載できないことから、GoogleサービスやGoogle Playがないため、アプリとしての使い勝手の面で課題が残ります。

  • OSはAndroid 10ベースなので、基本的な使い勝手は通常のスマートフォンですが、アプリは同社のApp Galleryしかなく、Google Playにないアプリはありません。特にGoogleサービスやLINEなどのSNSなど、必須とも言えるアプリがないのは厳しいところです

SoCがKirin 980に5G対応モデムBalong 5000だったMate Xに対して、モデムを統合したKirin 990 5Gに進化したことで、パフォーマンスも向上しているようです。触った限りは十分なパフォーマンスはあるようです。

折りたたんだ状態でも、スマートフォンとしても通用する薄さもいいところです。スマートフォンとタブレットの2つの機能が使える製品としては、現実的なサイズに収まっています。

ただ、価格が2499ユーロ、約30万円という高額な点がネックです。Googleサービスがなく、人を選ぶ端末であり、さらに価格もかなり人を選ぶ端末となっています。このあたりを、Huaweiがどのようにカバーしていくのかという点は、今後興味深いところです。

  • Samsungは折りたたみスマートフォンの第2弾として縦折りのスマートフォンを投入しましたが、Huaweiは後継機種で完成度を高めた形です