今年、芸能生活10年目を迎える山本舞香。バラエティ番組などでのトークでは「嘘をつかないこと」をマイルールにしているという彼女は、その“まっすぐさ”が大きな魅力。爪切男の小説を連続ドラマ化した『死にたい夜にかぎって』(MBS・TBSほか)では、心に病を抱えた女性・アスカ役を体当たりで演じ、新境地に挑む。「本作は今の私とリンクするものが多かったんです」と告白する山本。それだけに自身にとっての転機となりそうな予感がしているという彼女が、「この仕事を辞めたいと思った時期もある。でも続けてきてよかった」という10年目への歩みや、本作にかける熱い思いを明かした。
■自身とリンクする作品との出会い「運命のよう」
爪切男本人のまさかの実体験エピソードが原作となる本ドラマ。幼くして母に捨てられた小野浩史(賀来賢人)が、さまざまな女性たちと出会い、ときにぶつかり合いながらも、少しずつ笑顔を取り戻していく姿を描く。山本は、浩史が人生で一番愛した女性で、変態に唾を売って生計を立てているアスカ役を演じている。
――心に病を抱えた女性・アスカ。チャレンジングな役どころだと思いますが、オファーを受けたときにはどのような感想を持たれましたか?
今まで受け取った中で、最も重たい役だなと思いました。私は今年、芸能生活10年目を迎えますが、その中でも初挑戦です。でも脚本を読んだときに、本作には今の自分とリンクするものが多いなと感じて。今、自分がやるべき作品だなと思ったんです。
――ご自身とリンクするというのは、どういった部分でしょうか。
アスカはうつ病を抱えていますが、私も心が落ちてしまうことがあって、少しばかり気持ちが分かる部分がありました。だからこそ私にしかできない役だとも思いました。役柄に対してこんなふうに感じたのは初めてで、このタイミングでアスカ役をいただけたのは、運命のように感じています。アスカって、自分に似ているところも多いんです。私も誰かを好きになると、その人にすべてをぶつけてしまいたくなるし、私もその人のすべてを支えたいと思う。浩史は不器用だけれど、そんな彼なりに必死にアスカを支えようとしてくれる。私自身、浩史のそういう姿がかわいくて仕方がないんです。アスカの心の病や気持ちがわかるからこそ、視聴者の方に「こういう人もいるんだ」「こういう考え方もあるんだ」と伝えられる作品になったらうれしいなと思っています。
――監督の村尾嘉昭さんとは9年ぶりのお仕事となるそうです。デビュー当時にご一緒された方と「運命だ」と感じられる作品でタッグを組むということも、特別なことのように感じます。
本当にそうですね。運命を感じます。村尾監督とは、私が13歳のときに松岡昌宏さん主演の『13歳のハローワーク』というドラマでご一緒させていただきました。村尾監督は、自分の意見を押し通す方ではなく、私から「こうしたい。どうでしょう」と意見を言っても、それを受け入れて、一緒に考えてくれる監督。一緒にやっていて、「すごく楽しい」と感じさせてくれる監督です。
■「この仕事を辞めたい」と悩んだ時期も
――アスカは浩史と出会ったことで、自分を変えたいと思うようになります。山本さんにとって、自分の生き方に影響を与えたような人はいますか?
うちの事務所の社長です。夫婦2人で代表をやっているのですが、2人はいつ見てもかっこいいなと思います。私は17、18歳の頃に「この仕事を辞めたい」「もう前に進めない」と落ちすぎてしまったときがあって。そこから救ってくれた人でもあります。
――そういう時期があったんですね。
そうなんです。その時に背中を押してくれるような言葉をたくさんもらいました。「なんでこのお仕事をやっているんだろう」と思ったときに、今のマネージャーさんたちも親身になって話を聞いてくれました。ケンカもするんですよ(笑)。バーっと言いたいことを言って、すごい怒られることもある。でもそうやって言い合える関係性って、すごいいいものだなと思うんです。周りにそういう人たちがいるからこそ、今、頑張れているんだと思います。9年やってきて、そういった感謝の気持ちが大きくなってきていますね。
――女優という仕事の醍醐味を、今はどのように感じていますか?
本当に失礼な話ですけど、女優さんのお仕事を始めたころは、なにが楽しいかはよくわからなかったんです(笑)。でも今は観てくださる方に「苦しい経験をしている人もいる」とか「こうやって乗り越えている人もいる」「こういう人もいるんだよ」ということを伝えたくて、このお仕事をしているんだと思っています。『死にたい夜にかぎって』に出会って、今までやってきてよかったなと思った。これからも続けていきたいと思えるような、私にとって転機となる作品になるとうれしいなと思っています。
――バラエティ番組で見せる、飾らない人柄も魅力的です。トークする際に気をつけていることはありますか。
嘘をつかないことです。22歳になったので、なんでもかんでもさらけ出すのではなくて、もうちょっと「お姉さんになっています」という姿も出していきたいなあ(笑)
1997年10月13日生まれ、鳥取県出身。2010年『鳥取美少女図鑑』に登場後、掲載写真を見た事務所からスカウトされる。2011年5月「三井のリハウス」14代目リハウスガールでデビュー。2011年にドラマ『それでも、生きてゆく』で女優デビュー。主な出演作に映画「暗殺教室」シリーズ(15、16)、ドラマTBS『チア☆ダン』(18)、映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(18)、映画『東京喰種 トーキョーグール【S】』(19)などがある。6月19日公開予定の映画『とんかつDJアゲ太郎』にヒロインとして出演。
MBS:2月23日スタート(毎週日曜24:50~)
TBS:2月25日スタート(毎週火曜25:28~)
※毎週火曜TBS放送終了後 、TSUTAYAプレミアムにて見放題独占配信開始。TVer、MBS動画イズムにて見逃し配信
スタイリスト:津野真吾(impiger) ヘアメイク:Storm(Linx)