東京メトロは2004年の発足以来、同じデザインの制服を使用してきた。今年開催される東京オリンピック・パラリンピック(東京2020大会)を前に、4月1日から制服をリニューアルする。新制服の発表会が2月19日に都内で行われ、駅係員と駅長、サービスマネージャーの新たな制服がお披露目された。
■東京の魅力を発信する制服に
発表会で登壇した東京メトロ代表取締役社長の山村明義氏は、「東京2020大会とその先に向けて、初めての制服リニューアルを行います。スタイリッシュなデザインの制服で、東京の魅力を発信したい」と説明した。
新しい制服は、安心・安全・信頼というイメージを基本に、東京らしさを感じさせるデザインとし、動きやすさなど機能面の向上も図っている。
共通するものとして、制帽には東京メトロのコーポレートマークだけでなく、「Since 1927」と、東京で初めて地下鉄が開通した年(西暦)を入れている。シャツは両胸にポケットを設け、訪日外国人への案内等のために携行品が多くなっている最近の駅係員の状況に対応した。制服は帯電防止機能や股下のカッティングなどに工夫をこらし、ストレッチ性も向上。快適性を高めている。上着を外しての仕事にも対応できるように、制服のシャツにボタンダウンを使用したものも多かった。
駅係員の制服は、シンプルスタイリッシュなデザインであり、「メトロらしさ」を意識して作られたという。基調色はネイビー。上着の襟にコーポレートマークを刺しゅうで入れている。夏の制服はクールビズスタイルであり、暑い夏でも涼しさを感じさせるようにしているとのことだ。
駅長の制服は、ダブルブレストによって職責を示している。男女両方の制服が作られ、女性駅長が就任する場合にも備えた。
サービスマネージャーの制服は、利用者からひと目でサービスマネージャーとわかるように、スーツはスタイリッシュネイビーとグレーをかけ合わせ、メトロブルーをアクセントに取り入れた。ネクタイなどのネックアイテムは各路線のアイコンをモチーフとしたデザインに。携行品も多いことから、ポケットの収納機能を向上させている。これで、複雑な東京の地下鉄をより案内しやすくなる。
夏服の着用期間は5月1日から10月31日まで、冬服の着用期間は11月1日から4月30日までとなっているものの、寒暖の状況によって切り替える時期は変動する。まずは4月1日から冬服を着用することになり、5月からは夏服となる予定だ。
発表会の会場では、参考に旧制服も展示されていた。現在の制服だけでなく、営団地下鉄時代の1991年から採用されたアースカラー制服や、1964年の東京オリンピック開催時の制服、東京地下鉄道時代の詰襟制服も紹介された。
■女子駅伝部も走り出す - 選手4名でスタート
この日は新制服のお披露目に加え、東京メトロの女子駅伝部を創設することも発表された。チーム名は「東京メトロ マーキュリー」。選手4名でスタートし、今後、所属選手を増やした上で、2021年度のプリンセス駅伝に参戦。将来のクイーンズ駅伝優勝をめざす。1996年アトランタオリンピックの5,000mで4位入賞を果たした志水見千子氏が監督を務める。
女子駅伝部の創設にあたり、山村社長は「当社の『東京を走らせる力』という企業理念を、実業団チームを持つことで加速させたい。駅伝は鉄道とも親和性が高く、企業姿勢とも合致したことで女子駅伝部を創設しました」と話した。
女子駅伝部は東京大学スポーツ先端科学研究拠点とも連携し、女性アスリートのコンディショニングに関する研究に協力。練習場も東大駒場キャンパスを使用する。女子駅伝部のメンバーは競技生活だけでなく、東京メトロの一員として、鉄道事業部門での庶務や一般管理部門での事務業務も行う。
東京2020大会の開催を前に制服をリニューアルし、女子駅伝部も走り出す。東京が世界から注目される今夏とその先に向け、東京メトロは新しい取組みを開始する。