伊藤沙恵女流三段を破って自身3度目の挑決へ。初の挑戦権獲得を目指す
2月19日に東京・将棋会館にて、第13期マイナビ女子オープン本戦準決勝(主催:マイナビ)の清水市代女流六段-伊藤沙恵女流三段戦が行われました。結果は157手で清水女流六段の勝利。加藤桃子女流三段との挑戦者決定戦へと駒を進めました。
振り駒で後手番になった伊藤女流三段は、角道を止め、金銀を密集させて守りを固める得意戦法を採用しました。一方の清水女流六段は角を2筋に転回し、真正面から伊藤女流三段の囲いを潰しにかかります。
先に仕掛けていったのは伊藤女流三段。右銀を素早く繰り出し、銀交換に成功します。ところがその後が問題でした。伊藤女流三段は手にした銀をすぐに打って相手の桂と交換し、その桂を打って飛車の封じ込めと、のちの金の両取りを狙いましたが、これが無理筋。局後の感想で「自分から駒損する△4六銀は無理筋だったんでしょうね」と語っています。
なぜだめだったのかというと、桂打ちに対する清水女流六段の動きが機敏だったからです。2筋を歩で攻め、後手の陣形を乱したのが好手順。これにより後手は、桂を渡してしまうと反動が大きくなってしまいました。結局、伊藤女流三段は打った桂を跳ねることができず、この桂はむしろ狙われるだけの駒になったのでした。
模様が良くなった清水女流六段は百戦錬磨の指し回しを見せます。持ち駒の銀を投資して、後手の飛車を封じ込めつつ、成駒を作って活用していく遠巻きな攻めでじわじわと相手玉を追い詰めていきます。万が一にも逆転を許さない指し方です。
形勢が苦しい伊藤女流三段は必死の抵抗を見せ、なんとか相手のミスを誘おうと粘りますが、清水女流六段には通用せず。命からがら入玉は果たしたものの、玉を守る駒がなくなり、万策尽きて157手目を見て投了となりました。
これで清水女流六段はマイナビ女子オープンでは第7期以来3回目の挑戦者決定戦進出となりました。意外なことにまだ挑戦はなく、3度目の正直を狙います。
挑戦者決定戦で清水女流六段が対戦する相手は加藤桃子女流三段です。両者の対決で思い出されるのは第1期リコー杯女流王座戦五番勝負。当時高校生で奨励会員だった加藤女流三段が、女流棋界の第一人者の清水女流六段相手にフルセットの激闘の末、タイトルを獲得したことで話題になったシリーズです。その後、前述の第7期マイナビ女子オープン挑戦者決定戦でも清水女流六段と加藤女流三段は対決していて、加藤女流三段が勝利しています。
局後のインタビューで挑戦者決定戦に向けての抱負を問われた清水女流六段は、「久々の挑戦者決定戦進出で、自分自身がびっくりしています。対局までは少し時間があるので、いい作戦は簡単には浮かばないが考えていきたい。加藤桃子さんはお強いので、今出せる力をすべて出し切れるように準備して臨みたいと思います。」と回答し、気合十分。
西山朋佳女王への挑戦権を獲得するのは果たしてどちらになるのでしょうか。