Vシネクスト『仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ』の完成披露舞台挨拶が18日、東京・新宿バルト9にて開催され、主演を務める押田岳ほかキャスト陣が登壇し、作品にかける意気込みを語った。

  • 左から、兼崎健太郎、紺野彩夏、板垣李光人、奥野壮、押田岳、戸谷公人、木ノ本嶺浩、村上幸平、諸田敏監督

『仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ』とは、2018年から2019年にかけて放送されたテレビシリーズ『仮面ライダージオウ』のスピンオフ作品であり、50年後の未来世界から現代に来た仮面ライダーゲイツ/明光院ゲイツ(演:押田岳)を主人公としたストーリーとなっている。

歴代仮面ライダーの力を手に入れ「魔王」となった仮面ライダージオウ/常盤ソウゴ(演:奥野壮)が作り出した「新しい時空」、それはソウゴ、ゲイツ、ツクヨミ(演:大幡しえり)たちが"ふつうの高校生"となり、ウォズ(演:渡邊圭祐)も知らない未来を生きる世界だった。

本作『ゲイツ、マジェスティ』では、ソウゴやツクヨミたちと高校生活を送るゲイツが、ふたたび仮面ライダーゲイツに変身して"戦い"の道を歩む姿が描かれている。柔道に青春をかけていた高校生のゲイツが、いかにして仮面ライダーになる運命を受け入れるのか、そしてソウゴ、ツクヨミ、ウォズといったかつての仲間との関係性はどうなるのか、がファンの興味をひく大きなポイントではないだろうか。

上映終了後、大きなファンの拍手と声援に囲まれながら、「役衣装」に身を包んだ本作の出演者がステージに現れた。

本作の主役、仮面ライダーゲイツ/明光院景都(ゲイツ)を演じる押田岳は「ゲイツ!」というファンからの声援を受けて「ひさしぶり! 気持ちいいコレ!」と喜びを表しながら挨拶。

新しい時空ではゲイツやソウゴ、ツクヨミの後輩生徒、かつてはタイムジャッカーのウールを演じた板垣李光人。

タイムジャッカーのオーラ、そして新しい時空ではゲイツのことが好きな後輩生徒を演じる紺野彩夏。

タイムジャッカーのスウォルツ、新しい時空ではやたらと"圧"の強い高校教師を演じている兼崎健太郎。

『仮面ライダーディケイド』から、仮面ライダーディエンド/海東大樹を演じる戸谷公人は、ライダーファンの熱い声援をひさびさに受けて「10年ぶりですね……」としみじみ噛みしめながら挨拶した。

『仮面ライダーW(ダブル)』から、仮面ライダーアクセル/照井竜を演じる木ノ本嶺浩。

『仮面ライダー555(ファイズ)』から、仮面ライダーカイザ/草加雅人を演じる村上幸平。

『仮面ライダージオウ』で1年間、ゲイツ役の押田と名コンビぶりを見せてきた仮面ライダージオウ/常盤ソウゴを演じる奥野壮。

本作のメガホンを取った諸田敏監督は「映画いかがだったでしょうか。"金かえせ"というご要望にはお応えできないのですが(笑)、あたたかい気持ちでお付き合いください」とジョークを飛ばしながら、笑顔であふれている客席を観て"満足度の高い"作品が完成した手ごたえを感じるようすを見せた。

MC(宮島咲良)から主演の感想を尋ねられた押田は、「そりゃあもううれしかったですよ。ついに僕が"真ん中"か! と。みなさん、僕が真ん中です!」と「ソウゴの相棒ゲイツ」ではなく「主演・ゲイツ」を強調しながらコメントした。しかし「いま足が震えています。落ち着かなくて……。ほら、コンビ芸人で立ち位置が変わると落ち着かないみたいな」と、いつもの『ジオウ』チームとポジションと異なる「主演・ゲイツ」へのプレッシャーをわずかに感じているようでもあった。

一方、奥野は押田が語る"立ち位置の違い"について「すごく新鮮な気持ちで現場に入りました。しかし、やっぱり1年いっしょに戦ってきたので、安心感は変わらず」と、『ジオウ』テレビシリーズで苦楽を共にした最高の相棒との間に強い信頼関係があったことを改めて語った。押田の"主役"ぶりについて奥野は「予告映像を観たとき、岳くん演技上手くなったなあって思いました。すごくカッコよかったです」と、共に切磋琢磨して芝居の技術を向上させてきた仲だからこその高評価を行った。これを聞いた押田は「カッコよかった!?」とニッコリ笑顔を見せ、客席からの大きな拍手が2人を包み込んだ。

板垣、紺野、兼崎のタイムジャッカー組は、これまで『ジオウ』の劇場版に出演する機会がなかったのだが、今回の作品で初めて3人そろって出演が叶ったという。板垣は「これまで何回か『ジオウ』の映画がありましたけど、夏映画、冬映画と出番がなくて"さすがに次はあるだろう"と思っていました」と、最後のチャンス到来に心からうれしそうな顔をのぞかせた。紺野も「白倉(伸一郎)プロデューサーに"冬映画、出たいんですけど!"とお願いしていたのに、ダメだったんです。やっと(映画に)出られてうれしいです」と、プロデューサーに直接交渉を試みたことを明かしつつ、念願の映画出演が実現したことを喜んでいた。兼崎はテレビシリーズと映画との違いとして「映画ならではのスペシャルなキャストとご一緒できるのが魅力。今回もレジェンドライダーの方々と共演ができてうれしい」と落ち着いた口調で語ったため、木ノ本から「ひとりだけテイストが違うよ!」と、高校の制服に身を包んだ『ジオウ』チームの中で、兼崎だけ教師役だという部分を鋭くツッコまれていた。

本作では、歴代のレジェンド"2号"ライダーが登場し、ゲイツや仲間たちに深く関わってくるのが見どころのひとつ。木ノ本と戸谷が「およそ10年ぶり」と、かつて自分たちが活躍していた『W』と『ディケイド』の時代をふりかえると、隣の村上が「俺は17年ぶり」と2003年に放送されていた『555』から今年で17年となる現状を語り、周囲から「本当のレジェンドですよ!」と熱いまなざしで見つめられていた。

村上は「毎年9月13日は"カイザ(913)の日"ということでファンイベントを行う機会があり、"草加を演じる"ことには自信があったんですけど、あるときゲームでカイザ/草加の声を吹き込んだとき"似てない"と言われたことがあった! 似てないってどういうことだ!? 俺、カイザ村上だよ? って(笑) でもまあ、そんな"事件"もあったので、もう一度草加という役に向き合って、もう一度ていねいに演じてみました」と、草加雅人役の"原点"に戻ったかのような演じ方をしたと話してファンの興奮を呼んだ。

木ノ本は「テレビが終わってからも、ちょこちょこVシネに出させていただいたのですが、まさか10年ぶりにこの(照井竜の)衣装で舞台挨拶が出来るとは思いませんでした。10年前の衣装をそのまま着ております。自分のサイズに今でも合っていて、着心地よかったです!」と、10年間スタイルを維持しつつ、ふたたびクールな刑事ライダー・アクセルを演じられた喜びを笑顔で伝えてくれた。

戸谷は『ジオウ』のテレビシリーズでもたびたび出演を果たし「ほぼ準レギュラー化していましたね。ライダーの現場って特別で、いつ出演しても楽しめます。『ディケイド』テレビシリーズのころはいっぱいいっぱいのところがありましたが、今回は10年ぶりの登場で、いい意味で気楽に演じることができたかなと思います。ただ今回、(門矢)士がいないから寂しかったですけど(笑)」と、井上正大演じる仮面ライダーディケイド/門矢士の不在を残念がる場面も見られた。

本作には他にも、『仮面ライダーオーズ/〇〇〇』の仮面ライダーバース/伊達明役の岩永洋昭も登場。押田や奥野は自分たちがもっともっと経験を積み、成長を重ね、やがて"レジェンド"となって「仮面ライダー」の世界に"戻ってくる"ことを夢見て「ぜひ、呼んでいただきたいです」と目を輝かせた。

諸田監督は本作の演出について「全体的には"高校生"の物語なので、シンプルな作品になればいいかなと思って取り組みました。現場では、ゲイツやソウゴに"高校生だよ~"と何度も言っていましたね。ときどき以前のゲイツやソウゴに戻ってるときがあったので(笑) 同一人物でありながら違う設定の人間を演じるというのは、なかなかないこと。高校生活をみんなが楽しんでいて、その楽しさが画面に出ていればいいなと思って演出しました」と、"戦士"とは一味違う"ふつうの高校生"を演じる押田や奥野たちの"楽しさ"を活かすような演出に努めたと話した。

高校生活がメインのストーリーとなる本作にちなみ、キャスト陣の高校生活は? という質問が投げられた。板垣は「実際の高校生活より、今回の作品のほうが青春を楽しむことができた」、紺野は「高校時代は単位を落とさないよう"単位との戦い"があった」、押田は「楽しい高校時代を思い出しながら今回の作品に臨んだ。俺、まだ高校生イケるかもしれないと思った」と、それぞれの高校への思いを語っていた。

奥野は「諸事情で実際には高校を卒業できなかったので、テレビシリーズの終わりにスタッフさんたちから"卒業証書"をいただいたのが大切な思い出」と話し、まだ桜が咲いていない時期だったことから桜の枝(造花)を入れ込んでもらいながら撮影した「卒業写真」を額装して飾っていると明かし、押田をはじめキャスト全員を感動させた。

戸谷は「今回、高校の制服を着て出てくるシーンがあります。本当は兼崎さんの側なんですけど(笑)、高校生活を満喫することができました。なるだけ若作りして……」と、本作での意外な出演シーンについての感想が飛び出した。木ノ本は「高校時代は部活しかしていなかった。陸上部で直線ばかり走っていました」、そして村上は「もう25年くらい前ですが(笑)、僕はバンドをやっていて、学園祭で歌ったりしていました。ヘタだったんですけど、それがまた青春かなと(笑)」とひたむきな高校生活をふりかえる一方、兼崎は「高校ではバレーボールをやっていましたが、すぐやめてしまい……」と、高校時代はあまり良い思い出がないと打ち明けつつ「高校生のときの友だちと今でもつながりがあるので、それが宝物」と、大切な人間関係が築かれていたと笑顔を見せた。諸田監督は「何も考えず、悩みもせず、ただ映画を観ていたので、こんな風になっちゃったかな」と、映画好きが高じて作り手の世界に進んだ"原点"が高校時代にあったと語った。

最後にマイクを握った押田は「最後に僕がしゃべるときがくるとは……」としみじみ思いつつ「応援してくださったみなさんのおかげで、こういう楽しい作品ができました。こうして完成披露を迎え、たくさんの方に作品を観ていただけたので、僕は満足です! ありがとうございました!」と挨拶し、完成披露舞台挨拶を見事にしめくくった。

Vシネクスト『仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ』は2020年2月28日より期間限定上映開始。また4月22日にはBlu-ray&DVDが東映ビデオから発売される。

(C)石森プロ・ADK EM・バンダイ・東映ビデオ・東映 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映