ゲームプレイに最適なThunderbolt 3ドック

2019年12月、SeagateからPCでのゲームプレイに最適というThunderbolt 3ドック「FireCuda Gaming Dock」が発売された。FireCudaと言えば、HDDとSSDのハイブリッドであるSSHDのブランドとして知られているが、この製品はThunderbolt 3接続の多機能ハブ。4TB HDDを内蔵し、USBポートやヘッドセット端子、マイク入力、ディスプレイ出力、有線LANなどを備え、ノートPCにおけるゲーム環境を整えるのに便利なドッキングステーションと言える。ユニークなのが、NVMe SSDに対応するM.2スロット(PCI Express 3.0 x4接続)も用意されていること。これ1台で高速なストレージ環境も作り出せる。

  • Seagateの「FireCuda Gaming Dock」。実売価格は45,000円前後

サイズは幅270mm、奥行き135mm、高さ51mmで重量は2.67kg。見た目はちょっと大きめの外付けHDDと言ったところ。電源はACアダプタで接続する。今回の試用機には複数の国に対応するため4種類の電源ケーブルが付属していた。日本向けは3ピンタイプで、一般的な2ピンのコンセントに接続するためには別途3ピン→2ピンへの変換プラグを用意する必要がある。このほか、Thunderbolt 3ケーブルも付属。

  • 電源ケーブルは3ピンタイプ。使用するコンセントによっては2ピンへの変換プラグが必要だろう

搭載ポートは、前面にUSB 3.1 Gen 2ポート×2、ヘッドセット端子、マイク入力を搭載。USBは1ポートがバッテリ充電用となっている。本体の電源がオフの状態でもUSB接続のデバイスに充電が行えるようだ。筆者は電源がオフの状態でスマートフォンが充電できることを確認した。

  • 前面にはUSB 3.1 Gen 2ポート×2、ヘッドセット端子、マイク入力を用意

背面にはThunderbolt 3×2、DisplayPort 1.4出力、USB 3.1 Gen 2ポート×3、ギガビットイーサが用意されている。Thunderbolt 3はACアダプタに近い方がPCとの接続用、もう一つがデバイス接続用となっている。

  • 背面にはThunderbolt 3×2、DisplayPort 1.4出力、USB 3.1 Gen 2ポート×3、ギガビットイーサを搭載

M.2スロットは右側面のカバー内に用意されている。カバーを外し、スロットの上部にあるフタを固定している2箇所のネジをドライバーで取ればアクセスが可能だ。上下には厚めの熱伝導シートが貼られており、NVMe SSDに対する熱対策は十分と言えそうだ。個人的には、NVMe SSDを固定するためのネジが、PCの自作では一般的な先端が1番、または2番のドライバーで回せるサイズなのが素晴らしいと思った。マザーボードのM.2スロットは精密ドライバーが必要なパターンが多いためだ。ちなみに、M.2はType2280のサイズしか取り付けできない点は注意したい。とは言え現在は、ほぼType2280のサイズしか流通していないのであまり困らないとは思う。なお、Serial ATA接続のM.2 SSDには対応しない。

  • カバーはマグネットで固定されており、引っ張れば取り外せる

  • 上部のフタを外せばM.2スロットにアクセスできる。上下に熱伝導シートがあり、熱対策は十分だ

  • NVMe SSDを固定したところ。1番または2番のドライバーでネジを固定できる

PCと接続したときの挙動を見ていこう。Thunderbolt 3だけではなくUSB Type-Cポートに接続しても動作する。ただし、USB Type-Cポート接続時はNVMe SSDは動作しない(そのほかの機能には問題がない)。フルで機能を使うためにはThunderbolt 3接続が必要となる。

今回のテストにはマウスコンピューターのゲーミングノートPC「G-Tune P3」を使用した。13.3型のコンパクトなモバイルノートだが、右側面にThunderbolt 3を1基備えており、基本性能も高いので、今回のテストに向いているためだ。FireCuda Gaming DockにACアダプタが接続されていれば、PCとThunderbolt 3ケーブルで接続するだけで自動的に電源がオンになる。Thunderbolt 3ケーブルを抜いたり、PCの電源をオフにすれば自動的にFireCuda Gaming Dockの電源もオフになる仕組みだ。電源ボタンも用意されているが使う場面は少ないだろう。

  • 今回はマウスコンピューターの「G-Tune P3」を使ってテストした。Thunderbolt 3接続している

PCとThunderbolt 3で接続されると、4TBの内蔵HDDとNVMe SSD(取り付けていれば)がストレージとして認識。ヘッドホン出力とマイク入力に関しては「USB Audio CODEC」、ギガビットイーサは「Realtek USB GbE Family Controller」として認識される。

  • サウンド入出力は「USB Audio CODEC」として認識

  • ギガビットイーサは「Realtek USB GbE Family Controller」として認識

次は内蔵HDDのデータ転送速度を見てみよう。7,200rpmと高速なHDDが搭載されている。テストにはCrystalDiskMark 7.0.0gを使用した。シーケンシャルリード、ライトとも230MB/s台とHDDとしては十分に高速だ。ただ、容量が4TBあるのでノートPCのデータバックアップや大容量のゲームインストール先として活用できる。

  • 内蔵HDDのCrystalDiskMark 7.0.0gの結果

そして、気になるNVMe SSDの速度も見てみたい。M.2スロットに搭載したのは、Plextor M8Pe PX-512M8PeGNだ。公称のシーケンシャルリード2,300MB/s、シーケンシャルライト1,300MB/sとなっている。結果を見ると、ほぼ公称通りの速度を発揮。NVMe SSDの性能を十分引き出せている。

  • M.2スロットにPX-512M8PeGN搭載時のCrystalDiskMark 7.0.0gの結果

ゲームのロード時間もチェックしてみたい。ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークのローディング時間を内蔵HDDとM.2スロットに同じくPX-512M8PeGNを搭載したときでテストした。その差は明らかで約14秒もNVMe SSDのほうがロード時間が短かった。ゲームのロード時間短縮を狙うなら、NVMe SSDにゲームをインストールするべきだろう。