東京メトロは2月20日から、富士ゼロックスと共同開発を進めてきた個室型ワークスペース「CocoDesk」を東京メトロ駅構内で提供開始する。これに先立ち、2月17日に溜池山王駅で報道公開が実施された。

  • 個室型ワークスペース「CoCoDesk」。地下鉄の駅構内でデスクワークが可能に

本サービス開始に至る前に、2018年6月から2019年7月まで、都内沿線で「サテライトオフィスサービス」の実証実験が行われた。実証実験の結果、個人・法人合わせて2,000人以上に利用され、ワークスペースが駅構内にあることと予約可能である点、外部の音が気にならない点などが好評だった。

その一方で、温湿度環境の問題点や電話利用への不安なども判明。これらの意見を反映し、完全個室型のワークブース「CocoDesk」としてサービスを開始するに至った。

今回、報道公開を行った場所は溜池山王駅の5番出入口付近。前述の通り、ブースは完全個室のボックス型で、ブース1台につき1人の利用となる。外観は木目調の落ち着いたデザインとなっており、駅構内になじみつつもわかりやすい。なお、この場所にはブースが2台設置されるが、2月20日時点での稼働は1台のみとなる。

  • 地下の駅構内になじむ木目調の外観。ドアを開けて右側にデスクやモニターが設置されている

電源に接続しながら、大型モニターに画面を同期させたり、テレビ会議なども行える。室内の遮音性も高く、ドアを閉めると外部の音がほとんど聞こえにくくなった。作業の際、電源コンセント・USBコンセント・無線LANも利用可能。コンセントは照明スイッチと合わせ、モニターに向かって右下に集約されている。

  • 1人用のブースだが窮屈さはなく、ゆったり座って作業が可能

  • パソコン画面を大型モニターに同期できる。見やすくなるだけでなく、テレビ会議なども可能

  • 電源コンセントはモニターの右下奥にある。デスクの照明もここで切り替える

「CocoDesk」の室内にはエアコンも設置されている(一部設置場所は除く)ため、季節を問わず快適な室温・湿度を保つことが可能。デスク下の空きスペースには余裕があるため、手荷物はもちろん、キャリーバッグなど大型の荷物も収納できる。

利用時間終了が近づくと、音声で案内が流れる。退室する際、ドア右側の緑色のボタンを押す。ただし、他の利用者の予約がなければ15分ごとの延長も可能。予約・延長合わせて1日最大4時間までの利用となる。

  • 荷物はデスク下の空きスペースに。多少大きいものでも置くことができる

  • 季節や時間帯を問わず快適な空間に。衣類のフックはエアコンの隣

  • 退室時は緑色のボタンを押して解錠。ドアは手動となる

「CocoDesk」を利用するには、専用ウェブサイトで会員登録しておく必要がある。サイトにログイン後、利用したいブースと時間(15分単位)を選んで事前予約する。予約した利用開始時間になると、画面に解錠ボタンが表示されるので、ブースに近づき、解錠ボタンを押してから入室する流れだ。また、解錠ボタンが表示される画面に無線LANのSSIDとパスワードも表示される。利用可能時間は7時から22時まで。料金は15分ごとに250円(税別)となり、決済方法はクレジットカードのみ。

2月20日時点で、「CocoDesk」は銀座線・南北線溜池山王駅、千代田線明治神宮前(原宿)駅、南北線六本木一丁目駅、有楽町線池袋駅・月島駅、副都心線新宿三丁目駅の計6駅で提供開始し、2020年3月末までに計10駅に設置予定。その後も拡大を続け、東京メトロの駅構内に計100ブースの設置が予定されている。

オフィス以外の場所で仕事をする「テレワーク」に対応した取組みが東京メトロの駅にも広がりつつある。自分の働き方に合わせ、勤務先の近くや通勤途中の乗換駅などで、駅構内ワークブースの利用を検討してみてはいかがだろうか。