テレビ朝日の“ナスD”こと友寄隆英ディレクターが、3月8日(21:00~23:29)に放送される同局開局60周年特番『氷と雪に閉ざされた秘境の地 天空のヒマラヤ部族 決死の密着取材150日間』で、ヒマラヤ最奥の聖地・ドルポを密着取材することが13日、明らかになった。
以前に同局系で放送されていた『陸海空 地球征服するなんて』で南米アマゾンに暮らす部族に体当たり取材を行い、全身真っ黒という前代未聞の姿になった友寄ディレクター。『無人島0円生活』では、真冬に一睡もすることなく74時間にわたって動き続け、驚異の体力を見せつけた。
そんな友寄ディレクターが、“アジア最後の秘境”ともいわれ、日本から約5,000キロ、行きつくまでに最悪1カ月間もかかる“ヒマラヤ最奥の聖地”ネパール・ドルポを訪れる。富士山を超える高度4,000メートルに位置し、冬季はマイナス40度まで下がることもあるという、地球上でも屈指の極寒の地だ。
今回はそのドルポ地方の中でも最奥にある集落「ティンギュー村」を目指して旅をする。ティンギューに行きつくためには、標高5,000メートル以上の3つの大きな峠を徒歩で越えなければならず、総勢20人のスタッフが命をかけて雪山を進んだ。
旅に同行するのは、今から30年ほど前、過酷な海外取材を手がけ、そのほとんどに自ら出演してきた73歳の大谷映芳氏。『ニュースステーション』の取材ディレクターとして、世界の集落や高山に潜入リポートを敢行し、世界第2の高峰「K2」の西陵世界初登頂など数々の功績を残した元テレビ朝日局員だ。大谷氏は『ニュースステーション』の取材でドルポを訪れたことがあり、今回は友寄ディレクターをガイドする重要な役割も担当する。
2人は四季を通じて、計150日ほどドルポを取材し、現地の“今”を伝える。雪と氷に閉ざされ、完全に周囲から孤立する厳冬期のドルポ地方を取材するのは、世界初とのこと。
友寄ディレクターは18年秋、ヒマラヤ・ドルポに初めて到達したときは、「大地は全面、茶色。正直、まったく面白くなくてこの土地で特番なんか撮れるのかなと思ったんです」と明かす。
しかし、四季を通して取材を続けるうちに、茶から白銀、そして緑へと姿を変える大地の移り変わりに感動し、「『大地ってこんなに変わるんや』って、初めて大地が愛しく思えたんです。“大地で人間は生きている”ということ、そして“ドルポにはこんな生活を送っている人たちがいる”ということを日本のみなさんに伝えたいと心から思いました」と振り返った。
本作でのこだわりについて、「今回は風景、現場の音、ナレーション、音楽で魅せていきたいと思っています。目指すところは“打倒NHKスペシャル”」と笑顔。
そして「ヒマラヤはめちゃくちゃ絶景が広がっているので、150日の間に映像的にはNHKさんを超えたのでは!? と思える瞬間がたくさんあるんです。僕はテレビでいちばん大事なのは奥行きだと思っているんです。今はYouTubeも技術的にすごいと思いますが、奥行きがない。テレビの強みは深さ、高さが見せられること。視聴者のみなさんにはぜひヒマラヤの奥行きを感じていただきたいです」と呼びかけた。
また、「もちろん“笑い”の部分はありますが、破天荒なキャラがヒマラヤでどんなことをしてくれるんだろう…と期待してくれている皆さんの期待はある意味、裏切ってしまうのかもしれません」としながらも、「その裏切りを超えるものを作らなければならないと思うので、今は日夜、編集に没頭していますし、僕のこれまでを超えたものがこの番組にはあります。正直、ディレクター人生の集大成としてすべてを出していますし、恥ずかしくないものを作っているつもりです」と熱い思いを語った。
一方の大谷氏は、友寄ディレクターについて「初めて訪れたドルポで彼が独自の感性で、何を感じ、どう心を打たれたか? とても興味深い」とし、「ヒマラヤのドキュメンタリーとしては久しぶりの、厚みがあり幅のある番組なったに違いない」とコメントしている。