エースコック、日本マイクロソフト、アイロボットジャパンは、JR渋谷駅の山手線ホームに「ラーメンモッチッチ」の期間限定ショップ「モッチッチ ステーション」を開設。2020年2月14日~28日まで2週間、朝11時から夜20時までのオープンだ。モッチッチ ステーションでは、ラーメンモッチッチのワンタン麺か野菜タンメンをイートインで食べたり、持ち帰り用(2個セット)を購入したりできる。
2月14日には、アンケートに回答した先着200名に「焼そばモッチッチ」を1個、プレゼント。また、開催中にイートインを試した来場者には、ノベルティグッズ「こフタ」を進呈する。エースコックは「3社の技術が詰まった空間をぜひ体感して、おいしい一杯を召し上がっていただきたい」(エースコック 代表取締役社長 村岡寛氏)とした。
日本初の駅ナカ無人ラーメン店であるモッチッチ ステーションは、日本マイクロソフトのMicrosoft Azureで構築した「Smart Store」を基盤とする。店内では、アイロボットジャパンの「ブラーバ ジェット m6」による飲食後の自動拭き掃除と、イシダの軽量ソリューションを活用した決済システム、およびタイマーシステムを組み合わせている。
日本マイクロソフトは国内企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する上で、流通、製造、金融といった業種ごとに、参考資料となるリファレンスアーキテクチャーを作成してきた。
2019年1月当時の発表会では、キャッシュレス化に伴うスマートフォン決済や、数百万におよぶ商品在庫を数百の店舗で一括管理する商品マスタ、商品トランザクション管理といった店舗ビジネスにおける業務シナリオに沿ったサンプルアプリケーション、サンプルコードを含むと説明していた。一言でまとめると、「Azure Machine LearningやCognitive Services、Cognitive Toolkit、Azure IoTや他社ソリューションをパッケージングし、小売業のDXを推進」する存在だ。
利用方法は以下のような流れ。
来場者がモッチッチ ステーションを訪れると、自動的にカメラが来場者を検知し、指向性スピーカーでアナウンスが始まる。次に退場者がラックからお好みのラーメンを取り出し、Suicaをかざして商品を購入する仕組み。イートインは店内に設置したポットで給湯して、店内の席に座って食べる。ラック全体の重量も常に計測して、バックヤードからチェックすることで、商品補充なども対応可能だ。
日本マイクロソフトによれば、今回の取り組みは2019年5月ごろにスタートしているが、開発は速かった。
「Smart Storeリファレンスアーキテクチャーを使用しているので、開発は1カ月程度。(期間は2週間と短いものの)利用分だけ支払うクラウドがぴったりなケースだ。これがハードウェアを取りそろえてサーバーを立ち上げて……となると、とてつもない金額になる」(日本マイクロソフト マーケティング&オペレーションズ部門 Azureビジネス本部 業務執行役員 本部長 浅野智氏)といったように、クラウドサービスの敏捷(びんしょう)性を強調した。
モッチッチ ステーションは、女性を意識している。遅めの出社時や仕事帰りに小腹を満たしたいとき、男性であれば駅ホームの立ち食いそばという強い味方があり、大多数の男性が利用したことがあるはずだ。もちろん女性でも利用する人はいるが、男性に比べれば少ない。多くの女性は、駅ナカの飲食店やカフェに向かうのではないだろうか。今回は2週間という短期間ながら、働く女性に選択肢を与えると同時に、店舗を持たないエースコックのマーケティング強化、日本マイクロソフトのSmart Store構想を次の段階へと進める興味深い取り組みである。
阿久津良和(Cactus)