ボルダリングの日本ナンバーワンプレイヤーを決める「第15回ボルダリングジャパンカップ」(BJC)の準決勝と決勝が2月9日、都内の駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場で開催された。2日間にわたる競技の末、男子は原田海選手が初優勝。女子は伊藤ふたば選手が3年ぶり2度目の優勝を果たした。
ボルダリングは高さ4メートル程度の壁に設定されたコースを4分の制限時間内にいくつ登れるかを競う。壁には「ホールド」と呼ばれる突起物が設けられており、そのサイズや形状はさまざま。指先しか置けない程度の小さなものから、両手でも抱えきれないものなどもあるなかで、選手は攻略しやすいルートを見極めたうえでゴールであるトップ(最上部)を目指す。
トップのホールドを両手で保持すると、そのコース(課題)をクリア(完登)したとみなされる。フィジカル面だけでなく、頭脳や戦略も求められる種目だ。
決勝は男女各6名によって争われ、女子は伊藤ふたば選手、野口啓代選手、野中生萌選手、森秋彩選手、谷井菜月選手、松藤藍夢選手が、男子は原田海選手、楢﨑智亜選手、井上祐二選手、川又玲瑛選手、小西桂選手、佐野大輝選手がファイナリストとなった。
2017年大会で史上最年少の14歳で優勝している伊藤選手は、女子決勝で他の5選手が課題途中のボーナス地点に当たる「ゾーン」獲得すらできなかった高難易度の第3課題を、2度目のトライで唯一完登。さらに最終第4課題もクリアして野口選手と計3完登で並び、ゾーン獲得数で野口選手を上回って2度目の栄冠を手にした。
男子は第3課題を終えた時点で、決勝進出6人のうち5人が1完登で並んだ。最終第4課題に挑んだ楢崎選手は3度目のトライでこれをクリア。2完登でトップに立ったが、原田選手も4度目のトライで第4課題を成功させ2完登となり、ゾーン獲得数で原田選手の優勝が決まった。
東京五輪の「スポーツクライミング」では「ボルダリング」のほか、「スピード」「リード」の3種目の総合ポイントでメダルを争う。どの選手も得手不得手があり、2種目終了時点では最終順位の予測ができない。
ただ、ボルダリングを得意とする日本人選手は多く、初心者向けのボルダリング施設なども近年人気ということもあってか、会場には多くの人が詰めかけ、その盛り上がりぶりが感じられた。
日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)の平山ユージ副会長は、閉会の挨拶で「決勝に若いジャパンツアーから勝ち上がってきた選手たちが何人か残っていましたけども、予選・準決勝とハラハラとさせるような、素晴らしい質の高い大会だと感じました」と大会を総括。
そのうえで「BJCを皮切りに今年のシーズンが始まりましたが、これから8月のオリンピックに向けて選手たちにとっては過酷なシーズンになると思います。協会としては、2024年のパリに向かっての若い世代のテイクオフの年と位置付け、若い選手の強化・育成を進めるとともに、オリンピックに出る選手たちに最大限のサポートをしていきたい」と述べていた。
また、期間中は大会を盛り上げるべく、各スポンサー企業が会場にブースを出展。久光製薬はオリジナルのクリアファイルを配布し、トッププレイヤーたちの競技を一目見ようと会場に駆けつけた来場者を迎えていた。