米労働省が2月7日に発表した1月雇用統計の主な結果は、(1)非農業部門雇用者数22.5万人増、(2)失業率3.6%、(3)平均時給28.44ドル(前月比+0.2%、前年比+3.1%)という内容であった。
(1)1月の米非農業部門雇用者数は前月比22.5万人増となり、増加幅は市場予想の16.5万人を上回った。建設業が4.4万人増加した他、娯楽・観光業が3.6万人増加するなど、暖冬の影響に天候に左右されやすい業種の雇用者増加が目立った。なお、製造業は1.2万人減少した。非農業部門雇用者数は前2カ月分が合計0.7万人上方修正されており、その結果3カ月平均の雇用者数の増加幅は21.1万人となった。
(2)1月の米失業率は3.6%となり、50年ぶりの低水準に並んでいた前月から0.1ポイント上昇。労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率が63.4%と2013年6月以来の水準に上昇したことが失業率を押し上げた。フルタイムの就職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)も前月から0.2ポイント上昇して6.9%となった。
(3)1月の米平均時給は28.44ドルとなり、前月から0.07ドル(7セント)増加して過去最高を更新。伸び率は、前月比こそ+0.2%と前月分の上方修正の影響で予想(+0.3%)に届かなかったが、前年比では+3.1%と予想(+3.0%)を上回った。なお、前年比の伸び率は18カ月連続で3.0%超を維持した。
米1月雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが予想を上回るなど比較的良好だったが、市場はむしろややネガティブな反応を見せた。NYダウ平均は前日比277ドル安となり、ドル/円が約25銭のドル安・円高に振れた他、米長期金利は10年債利回りが約0.06%低下した。足元の米国経済は堅調な雇用情勢に支えられて好調が続いているものの、新型コロナウイルスの感染拡大による先行きへの不安心理が拭えなかったと見られる。
なお、米連邦準備制度理事会(FRB)は、議会に向けてこの日に提出した金融政策報告で「新型コロナウイルスの流行は米経済見通しへの新たなリスク」との認識を示した。早ければ2月の雇用統計(3月6日発表)にも悪影響が出るとの警戒感が浮上し、市場のネガティブな反応につながった可能性がある。