現在放送中のフジテレビ系月9ドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(毎週月曜21:00~)。あらゆるビッグデータから予測された犯罪を未然に阻止する「未然犯罪捜査班」(通称・ミハン)の活躍を描くストーリーの中で、大きな見どころとなっているのが、沢村一樹、横山裕(関ジャニ∞)、本田翼らによる本格的なアクションだ。
前作からさらにパワーアップしているというこの激しいシーンの撮影を支える、アクションコーディネーターの藤井祐伍氏に話を聞いた――。
■動きを作るのに2日以上も
アクションコーディネーターとは、上がってきた台本に「アクション」と書いてあるシーンの動きを考える役割。現役のスーツアクターでもある藤井氏らスタッフ側で実際に試しながら動きを作っていくが、場合によっては2日以上をかけて考えることもあるという。
それが完成したところで、本番の撮影とは別日を設けて、キャスト陣にレクチャー、練習へ。特に、沢村からは「あの映画のあんな感じでやってみたい」とアイデアが出ることが多いといい、その要望を受けつつ、役柄に合ったアクションを演出する。「役者さんがやりやすい動きでやったほうが感情も乗りやすいと思うので、その要望を生かしながらやっていますね」(藤井氏)。
この「感情を乗せる」というのは、アクションシーンにおいて極めて重要なのだそう。「僕らは『アクションっていうのは芝居なんだよ』って教わってきたんです。アクションの動きを頭で考えながらやると、芝居が入ってこない。だから、動きをしっかり体に染み込ませて、相手の動きも見ながら演技するっていうことが大切なんです。これは本当に難しいことなんですけど」と解説する。
一方で、「連続ドラマは結構時間との勝負というのもあるので、アクションのクオリティと、時間内で撮りきらなきゃいけないというところのせめぎ合いがあります」と、しびれる現場でもあるようだ。
■「やられる受けがうまい」沢村一樹
沢村とは映画『劇場版 仮面ライダーゴースト 100の眼魂とゴースト運命の瞬間』(16年)で、沢村が演じた「仮面ライダーゼロスペクター」のスーツアクターを藤井氏が務めたことが出会い。当時は数日会う程度だったが、『絶対零度』ではガッツリと組み合っている。
そんな沢村のアクションは「強くてスマートな殺陣」が特徴だが、「本人も言ってるんですけど、やられる受けの方がうまいんです。沢村さん自身が優しい人なので『ここに思いっきり当ててください』って言っても、ちょっと怖いみたいで(笑)。冗談で『じゃあ今日はこれで』と言って練習をすぐ切り上げようとしたりするんですけど、アクションの動きを動画で見せると『あーこれはダメだね』って自分で確認しながらやっていただけます」とストイックな面があるようだ。
現在52歳という年齢だが、「練習も結構な数をやってもらってるんですけど、体力がすごいです。『じゃあ、これで次ラストね』って冗談は言うんですけど、なんの文句も言わずこなしてくれるので、すごいと思います」と感心。2月2日に放送されたトーク番組『ボクらの時代』(フジ)では、沢村から「藤井くんの殺陣が一番いいんだよ」と絶賛されていたが、「いえいえ、そんなことないです(笑)」と謙そんする。