私たちがスマートフォンやパソコンで目にする日本語の文章は、ひらがな/カタカナや漢字の縦横比はほぼ正方形の1対1ですが、英数字は基本的に縦横比が2対1と、縦横比の異なる文字が混在しています。こうなった経緯は諸説ありますが、「2020年」より「2020年」のほうがすっきり見えるから、といった見た目の印象が理由のひとつです。
文字を表現するときの情報量という観点もあります。英数字は大文字/小文字を含めて百数十種類ですが、日本語は文字種が多く、常用漢字だけでも2千種以上存在します。英数字は1文字1バイト(0~255)で表現できるものの、日本語は1文字につき2バイト以上が必要です。
たくさんの漢字を扱えるほどコンピュータが高性能ではなかった時代、7ビット(0~128)で英数字を表現可能な「ASCII」という文字定義(文字コード)に追加する形でカタカナを扱えるようにできないかと考えられ、制定された文字コードが「JIS X 0201」です。
やがて、ひらがなや漢字を扱える文字コード「JIS X 0208」が登場し、ASCIIやJIS X 0201と混在させて表示させる必要が生じました。JIS X 0208の文字は正方形、ASCII/JIS X 0201は高さは同じだけれど幅を半分にして表示/印刷されることが一般的となった結果、JIS X 0208の文字を「全角」、ASCII/JIS X 0201の文字を「半角」と呼ぶようになったのです。JIS X 0208に比べ幅が半分で表示されるJIS X 0201に含まれるカタカナだから「半角カナ」、というわけです。
なぜこのような話を長々したかというと……iOS 13では、かんたんに半角カナを入力できるようになったからです。通常どおり変換前の文字をタイプしたあと、キーボード右端の「∨」をタップして入力候補を表示すれば、末尾に半角カナのものがあるはずです。前述したJIS X 0201ではなく、UTF-8で定義されている半角カナ文字ですが、表示の幅はかな/漢字の半分です。これからは、半角カナを入力するためにWEB検索したりアプリを使う必要はありません。