仮想通貨マイニングプログラム「Coinhive」(コインハイブ)を設置したとして、ウェブデザイナーの男性が罪に問われていた事件で、2月7日、2審の東京高等裁判所が、1審の横浜地裁の無罪判決を取り消し、罰金10万円の有罪判決としたことがわかった。

  • コインハイブ設置が逆転有罪、他人のCPU占有はウイルス? 国内ITに委縮影響か

    1審の無罪から一転、2審の東京高裁は有罪の判決

報道によれば、Coinhiveは、インターネットサイトを閲覧した他人のパソコンを破壊したり、情報を盗んだりはしないが、その処理能力を本人の同意なしに使い、利益を得ようとするプログラムであって、サイトを見た人のパソコンで電力が消費されるという不利益もあることから、コンピュータウイルスとみなすことができるため、それを設置することは、不正指令電磁的記録に関する罪にあたるのだとされている。1審の地裁判決ではウイルスではないという判断で無罪だった。

東京高裁が何をどう解釈し、判断したことで有罪となったのか、より正確で詳細な情報は待つべきだろう。しかし「Coinhiveはウイルスということにしたので設置は有罪」という事実のみが存在し、それが間違いでなければ、Webサービスの在り方を変えてしまうような大問題に発展する可能性すらある。

例えばスクリプトで動作するようなインターネット広告で、特に最近は閲覧者のパソコンへの負荷が大きいものも多いが、その広告が閲覧者に利益をもたらしていないと誰かが感じた場合に、今回のCoinhiveの件とどのように整合性をとるのかが不透明になるように見える。警察がいち個人の設置者や開発者と同様に、大手サービスなどを検挙するとも思えないので、現実的には野放しになるのだろうが、Coinhiveとの違いの線引きは今後議論を呼びそうだ。

一方で未来につながる話でも、Webの新技術の国内開発が委縮するという懸念が当然、非常に大きくなる。今までに存在していなかった、まだ善悪の決まっていない、まったく新しい技術を開発したり、試したりする場合において、警告もなく、いきなり警察に検挙されてしまい、その時の裁判で悪いものだと判断されると、有罪になってしまう可能性が生じるからだ。