ソフトバンクロボティクスと環境アレルゲン info and careは2月3日、「オフィスの隠れダスト」に関する調査結果を発表した。調査は2019年12月、20~50代のオフィスで働く男女51名および都内6カ所のオフィスを対象に行われた。

オフィスワーカーの「隠れダスト」に対する意識調査

  • オフィスのどの場所に花粉が多くあると思いますか?/オフィスの花粉症対策は?

    オフィスのどの場所に花粉が多くあると思いますか?/オフィスの花粉症対策は?

同調査における「隠れダスト」とは、チリや花粉、カビ、細菌など、床に存在し、空気中に舞い上がりやすいが、肉眼では見えにくいため、人の手では取り残してしまうゴミのこと。

はじめに、20~50代のオフィスで働く男女を対象にソフトバンクロボティクスが実施した調査によると、花粉症患者の約7割が「オフィスで花粉症を感じる」「仕事に対する影響がある」と回答。そこで、「(オフィスの)どの場所に花粉が多くあると思いますか?」と質問したところ、「空気中」(53.5%)と回答した人が半数を超え、「執務室の床」(1.4%)や「応接室/会議室の床」(0.2%)といった「床」と回答した人は少数にとどまった。

一方、花粉症対策としては「マスク」や「空気洗浄機」という回答が多く、「床」の対策にまでは及んでいないよう。これらの結果から、オフィスの花粉症対策では「床掃除」が盲点となっていることが明らかに。

また、自社のオフィスの「隠れダスト」対策について、多くのオフィスワーカーが「あまり対策はしていない」(34.5%)、「まったく対策していない」(41.1%)と感じているとのこと。「オフィス内の隠れダストをキレイに清掃することによって、あなたの仕事への集中度 や効率はどの程度変わると思いますか?」という質問に対しては、77.5%もの人が「仕事への集中度や効率がとても上がると思う」「やや上がると思う」と回答したことから、オフィスの「隠れダスト対策」をすることで、多くの人にとって働きやすい環境になり、仕事の生産性を向上させられる可能性があることが分かった。

オフィスの「隠れダスト」実態調査

ソフトバンクロボティクスの依頼の下、環境アレルゲン info and careが都内6カ所のオフィスを対象に調査を実施。まず、タイルカーペットが敷かれた全オフィスの執務室床から、掃除機を用いて1平方メートルあたり2分間吸引して塵を回収し、各種分析測定を実施。併せて、住居のダストも調査し、オフィスとの比較を行った。

  • オフィスから検出されたダストと、検出されたカビを培養したもの

    オフィスから検出されたダストと、検出されたカビを培養したもの

その結果、全てのオフィスから、住居よりも高い値の準揮発性有機化合物(SVOC)としてフタル酸ジ-2-エチルヘキシルが検出され、その値が最も高いオフィスでは、住居の29倍という結果に。健康被害が報告される「コウジカビ(アスペルギルス属)」についても住居よりも多く検出されたほか、住居に多いとされる「アオカビ」も全オフィスで検出され、その値は、住居の最大10倍という結果となった。

また、全てのオフィスでネコアレルゲンも検出。その一方で、ネコを飼育していない住居では全住居でネコアレルゲンは検出されなかったことから、同社は「ネコを飼育している人などからネコアレルゲンがオフィスへ持ち込まれている可能性がある」と分析している。

  • 人とロボット掃除機による掃除の比較/人の歩行による粒子の舞上げ例

    人とロボット掃除機による掃除の比較/人の歩行による粒子の舞上げ例

続いて、タイルカーペットに蛍光発光する粉体を散布し、可視光下で散布した粉体が認識できない状態で人およびロボット掃除機で清掃して、清掃後の床に紫外線照射をして発色状態を撮影。人の掃除は目的を知らない被験者5名による平均掃除時間を算出して再現し、ロボット掃除機はプログラムしたルートを清掃した。

その結果、人が掃除した場合は一定の掃除効果が確認できる場所が全体の約60%しか掃除できていないのに対し、ロボット掃除機「Whiz」の場合は、全ての場所で一定の掃除効果を確認。両者の動きを比較すると、ロボット掃除機は記憶した清掃ルートをくまなく掃除できるのに対し、人の掃除は目に見えるごみを中心に掃除するビジュアルクリーニングのため、隠れダストを取り逃し、清掃ムラが発生しやすいことがわかった。

また、人が掃除する時の空中浮遊粉塵の粒子数を測定する実験では、ピーク時の粒子濃度の比較では、人の掃除行為はロボット掃除機の約8倍以上粉塵を舞い上げていることがわかった。