おしゃぶりの商品発表会は、8人の子育て中のママやメディアの方が集まり開催されました。そこで、昭和大学歯学部小児成育歯科学講座の井上美津子先生より、子どもの歯と口の発育についてと、おしゃぶりのイメージや疑問について専門医の立場から講演をしていただきました。
まずはじめに、子どもの発育段階ごとの歯・口の発育と、しゃぶったりかんだりする口での行為がどのように関係していくか、解説していただきました。
井上先生
口はとても早く発達する器官で、妊娠初期から発達が始まっています。胎生12~14週頃には、早くもくちびるや舌への刺激で口を閉じる反応が見られるようになり、16週頃には指しゃぶりのような動きが見られるようになります。つまり、赤ちゃんはおなかの中にいるときから“しゃぶる”行為をしているんですね。30週前後には、赤ちゃんがおっぱいを吸うための反射運動ができるようになります。
生まれたばかりの新生児がいきなり自力でおっぱいを吸うことができるのは、おなかの中にいるときに培った反射のおかげです。そして、生後2~4ヵ月頃には、指しゃぶりをしたり、タオルやおもちゃを吸ったりなめたりするようになります。この時期はくちびると舌が最も敏感な器官なので、何でも口もとに持ってきて感触を確かめようとしているのです。また、最初は反射で吸っていたおっぱいも、徐々に自分で飲む量をコントロールできるようになり、遊び飲みが始まります。おっぱいを吸いながらお母さんの様子を見たり、声を出したりする赤ちゃんに対し、お母さんが「なあに?」「おなかいっぱい?」と応えたりしてコミュニケーションをとることで、愛着形成がされる時期でもあります。