米Netflixは2月5日 (現地時間)、動画コーデックにAV1 (AOMedia Video 1)を用いた映像コンテンツのストリーミング配信をAndroidアプリから開始した。
AV1は、非営利団体Alliance for Open Media (AOM)を中心にオープンソースかつロイヤリティーフリーの動画コーデックとして開発されている。オンライン配信の動画コーデックには「H.264/MPEG-4 AVC」や「H.265/HEVC」が採用されてきたが、特許を主張する団体の存在や高額になり得るロイヤリティーが問題の種になっていた。そこでロイヤリティーフリーのメディアコーデックを目指して2015年に、Amazon、Cisco、Google、Intel、Microsoft、Mozilla、NetflixなどがAOMを設立。GoogleのVP9やVP10、MozillaのDaala、CiscoのThorといった実績のある動画コーデックを基礎に、高圧縮が可能で高画質なAV1が開発された。AOMによると、AV1の動画圧縮率はH.265と比べて2割以上も高い。
H.265の特許権利者との綱引き状態が続くものの、H.264に比べてH.265の普及ペースは鈍い。そうした状況から、先にH.265対応を表明していたAppleが2018年1月にAOMに参加。Appleが動いたことで、AOMの取り組みに開花の兆しが見えてきた。AV1に対応するサービスの拡大が普及を加速させる次のステップになる。
Netflixはまず、コンパクトなデータサイズが求められるセルラーネットワークのソリューションとしてAV1を用いる。Netflixアプリで「Save Data」機能を有効にすると、一部のタイトルでAV1圧縮されたビデオがストリーミングされる。Android向けのAV1コンテンツはオープンソースのdav1dデコーダに最適化されている。同社はコーデックの向上を見ながら、AV1の採用を拡大していく計画だ。ハードウェアにAV1対応を拡大するための半導体メーカーやデバイスメーカーとの取り組みも進めており、全てのプラットフォームへのAV1ビデオの提供拡大を目指す。