もつれる順位戦、上位陣が敗れ決着は持ち越し

第78期順位戦B級2組(主催:朝日新聞社・毎日新聞社)の10回戦が2月5日、東西の将棋会館で一斉に行われました。これまで8勝0敗で前節ですでに昇級を決めていた丸山忠久九段は井上慶太九段に敗れ1敗に、7勝1敗だった横山泰明七段は田村康介七段に敗れ2敗に後退、6勝2敗同士の直接対決となった鈴木大介九段-近藤誠也六段戦は近藤六段が勝ちました。

横山七段が勝てばその他の結果いかんにかかわらず、昇級者が2名とも決定するという状況。横山七段-田村七段戦に注目が集まります。田村七段は常識にとらわれない力強い棋風の持ち主。将棋界随一とも言われる早指しでも知られ、ファンも多い棋士です。
本局も先手の田村七段が序盤早々に玉の守りに手を入れることなく、飛車、角、桂の飛び道具を派手に振り回す奔放な展開になりました。お互いの玉が露出し緊迫した状況の中、折衝の中で田村七段が手にした3枚の桂がいずれも鋭く敵陣を貫き、優位を築きます。最後は田村玉は安全地帯に逃げ込み、攻防ともに見込みのなくなった横山七段が83手で投了しました。田村七段の豪腕が炸裂、6時間の持ち時間を2時間以上残しての快勝でした。横山七段にとっては力を出しきれなかった一局になりました。

この結果、上位陣の成績は下記の通りとなりました。
【8勝1敗】丸山忠久九段(9)
【7勝2敗】横山泰明七段(3)、近藤誠也六段(21)(かっこ内は今期順位)

2つ目の昇級枠は、横山七段と近藤六段の2人で争われることになりました。本局に敗れた横山七段ですが、いまだ自力。最終戦に勝てば昇級が確定します。最終戦で横山七段が敗れ、近藤六段が勝った場合のみ、近藤六段の逆転昇級となります。

最終戦に昇級を懸ける横山七段