NECパーソナルコンピュータは、2020年春の新製品を1月21日に発表した。その数、なんと全53機種(カラーバリエーションや継続販売を含む)。同社直販サイトでは、特典が付く新商品フェアも2月6日まで開催している。
特に注目したいのは、クリエイター向けと位置付けられるノートPCの「LAVIE VEGA」、リビングルーム向けのオールインワンPC「LAVIE Home All-in-One」、K12(幼稚園~高校生)市場向けの2in1ノートPC「LAVIE First Mobile」の3製品だ。ここでは、発表会場での短い実機タッチ&トライで感じた点について、率直な感想をお届けする。
専用ショートカット付きの高性能ノート「LAVIE VEGA」
2020年・春モデルのメインといえるのが、クリエイター、特にプロフェッショナル~ハイアマチュアのフォトグラファーをターゲットとしたノートPC「LAVIE VEGA」シリーズだ。15.6インチの有機ELディスプレイはデジタルシネマで使われる色空間規格「DCI-P3」の再現率100%で、最上位モデルは4K表示となる。実際、表示品質は非常にゴージャスだ。
本体ケースはアルミ+アルマイト加工でソリッドなデザインとなっており、最上位モデルにはさらに、Gorilla Grass 6によるガラス天板仕上げになっている。また中央にロゴマークがあるが、最上位モデルではここが、音声アシスタント「Cortana」の動作時に光るというギミックも搭載されている。
性能はハイエンド、独自配列のキーボードが特徴
CPUは、Intel Core i7-9750HまたはAMD Ryzen 7-3750Hで、メモリはCore i7の上位モデルが16GB、下位モデルとAMDモデルが8GB。Intel CPUはストレージ用のキャッシュとなるOptaneメモリー32GBを搭載したうえで、1TB/512GBのSSDを採用している(AMDモデルは512GB)。スペック的にはハイエンド機にあたり、高速起動・省電力、Thunderbolt 3に代表されるモダンI/Oの採用など、最近MSとIntelが喧伝している「モダンPC」に準拠したハイスペックモデルだが、GPUはCPU内蔵のものを利用する。
ユニークな点としては、通常15.6インチクラスではサイズ的にテンキー付きのキーボードが採用されることが多い中、あえてテンキーを廃し、代わりにキーボードを中央に寄せ、左端にできたスペースに「PROキー」と称するショートカットキーを5つ搭載した点だ。Microsoft OfficeやAdobe Photoshop、Lightroomに対応しており、予め機能セットが用意されており、キーを押すだけでよく使う処理を実行できる。
Creative Cloud フォトプラン1年分も付属
フォトグラファーを対象としていることから、写真管理&加工の定番アプリであるAdobe Creative Cloudの「フォトプラン」(Photoshop、Lightroom、Lightroom Classicの3本を利用可能、980円/月)のライセンス1年分が付属する。既存のフォトプランユーザーの場合はライセンスの更新用にも使用可能だ。
デザイン面や基本装備面は力が入っており、全体としては良くまとまった機種だ。軽く試用してみると、売りのひとつであるキーボードのブラインドタッチで、キーが1ずつズレる感覚があった。前述した様に、キーボードの中心となる「G」キーと「H」キーが、ディスプレイの中央に来るように配置されているのだが、通常のノートパソコンの「G」と「H」は中央より1キー分左に寄っているため、いつもの感覚で手を置くと、1キー分ズレてしまうのだ。理屈ではVEGAが正しく、謎がわかればすぐ慣れそうだが、初見ではちょっと落ち着かなかった。打鍵自体はハイエンド機として遜色ない、スムーズな打ち心地だ。
良くまとまっているPC、「写真特化」をどう魅せるか
外部GPU非搭載に関しては、本機のターゲットである写真編集ではほとんど使わないであろうことから、大きな問題ではないだろう。一応GPUコンピューティングを使うと高速化するフィルター処理などはあるが、必携というほど重要でもない。ハイエンドPCとしてはやや残念だが、その分価格が下がっているら問題はない。
本来汎用機であるPCだが、ターゲットを絞ったモデルを出す、というのは悪くない話だと思う。全体のデザイン、質感も良い。一方で、本機の構成はAdobe CCバンドル以外、特に写真のみに特化したわけではなく、もう少し写真を意識したハードやソフトとの組み合わせがあってもよかった気もする。そのあたり、どう訴求していくのか注目したい。