昨年苦杯をなめたラス前対決を制し、一足先に昇級
第78期順位戦C級1組(主催:朝日新聞社・毎日新聞社)の9回戦が2月4日、東西の将棋会館で一斉に行われました。これまで8勝0敗の藤井聡太七段(3)、7勝1敗の佐々木勇気七段(14)、及川拓馬六段(32)、石井健太郎五段(34)(かっこ内数字は順位)の上位陣はいずれも勝ちました。その結果、9勝0敗となった藤井七段は、10回戦を待たずしてリーグ順位1位となることが確定し、一足先に昇級を決めました。
藤井七段は高野秀行六段との対戦でした。 高野六段は、藤井聡太七段がデビューした際のコメントで「性能の良いマシンが参戦すると聞いて、フェラーリやベンツが来ると想像していたらジェット機が来た」と表現し話題になったことがあります。今期はここまで6勝2敗と好調。本局に勝てばほかの対局結果次第でわずかに昇級の可能性を残す位置につけています。
将棋は、藤井七段の得意戦法である角換わりの流行型を高野六段が受けて立ちました。途中までは前期C級1組順位戦で藤井七段が唯一の、痛恨の敗戦を喫した近藤誠也六段との対局とまったく同じ局面に進みました。昨年の雪辱を果たしたい、という思いを感じるような戦型選択ですが、本人はどんな思いだったのか。 いっときは駒損を喫し、藤井七段自ら苦しいと自認する局面を迎えましたが、そこから一気に本領発揮。厳しく攻め立てつつも自陣を安全にする緩急自在の指し回しを見せます。気がつけば自陣は盤石、相手陣は収拾がつかない状態になっており、99手で高野六段が投了を告げました。
藤井七段は来期、師匠・杉本昌隆八段が所属するB級2組で戦うことになります。規定によりB級2組以下では師弟での直接対決は行われませんが、昨年のように師弟で激しく昇級を争う展開もファンは期待することでしょう。
最終10回戦は、残る1枠の昇級枠を佐々木七段、及川六段、石井五段の3者で争う形になりました。10回戦は3月3日に東西の将棋会館で一斉に行われます。