棋王戦第1局は渡辺明棋王の完勝。本田奎五段の巻き返しなるか

渡辺棋王(三冠)に本田奎五段が挑戦する第45期棋王戦(主催:共同通信社)五番勝負第1局が、金沢市の北國新聞会館で2月1日に行われ、95手で先手の渡辺棋王が勝ちました。初参加でタイトル挑戦という史上初の快挙を成し遂げ、今もっとも勢いに乗っている本田五段を寄せ付けず、渡辺棋王が横綱相撲を見せた内容でした。

今期の渡辺三冠は絶好調。2019年度が始まって以来半年あまり、豊島竜王・名人に4敗(3勝)を喫した以外は誰にも負けていない、という奇跡的な勝ちっぷりを見せつけていました。

1月に入り渡辺三冠は3敗を喫しました。それでもトップ棋士を相手に5勝3敗なので十分に好成績なのですが、これまでの無敵ぶりと比べると、さすがの渡辺三冠にも勝ち疲れが出たように映りました。年明けに渡辺三冠が敗れた3局は、佐々木大地五段(1月7日、王位戦予選)、山崎隆之八段(1月20日、朝日杯)、広瀬章人八段(1月25・26日、大阪王将杯王将戦第2局)。しかしこの3敗はいずれも後手番でした。

渡辺三冠は、特に先手番で勝つことを重視するスタイルで知られています。特に先後が決まっているタイトル戦では、先手番をすべて勝ち、後手番で1局勝つことを目指していると公言しています。棋王戦第1局は渡辺棋王がもっとも得意とするタイトル戦の先手番。さすがの本田五段もタイトル戦初戦で渡辺三冠の先手番を打ち破るのは困難でした。本田五段が先手番を持つ2局目をどう戦うかが、この番勝負の分水嶺と言えます。本田五段が先手番をキープすることができれば、番勝負はますます盛り上がっていくことでしょう。

棋王戦第2局は2月16日(日)、宇都宮市の宇都宮グランドホテルで行われます。

先手番で特に力を発揮する渡辺明三冠