Windows 7サポート終了を迎えて、Windows 10が商業的な成功を収めつつある。Microsoftが米国時間2020年1月30日に発表した2020年第2四半期の決算報告では、クラウド部門である「Intelligent Cloud」や、Office 365などを含む「Productivity and Business Processes」といったセクションが好調であることから、14%増の成長をアピールしている。
このレポートで興味深いのは、Windows 10のOEMライセンスや非ボリュームライセンス、商用パッケージなどを含めた「More Personal Computing」セクションだ。セクション全体で見れば収益は132億ドルで2%にとどまるが、Windows 10 Proエディションを指す「Windows OEM Pro revenue growth」の対前年比は26%。他のエディションを含む「Windows OEM non-Pro revenue growth」の対前年比は4%、Windows 10の商用およびクラウドサービスを指す「Windows Commercial products and cloud services revenue growth」も対前年比25%と、すこぶる好調だ。
上図のとおり、Windows OEM Pro revenue growthの数値は2019年度第3四半期から成長を加速させている。この背景には、Windows 7のサポート終了に伴う企業PCの買い換え、もしくはリースPCのリプレースに伴うWindows 10 Proライセンスの需要増があることは明らかだろう。
他方で注目したいのが、Windows OEM Pro revenue growthだ。わずか4%ながら、初めて前年を上回っている。Proエディションと同じようにWindows 7サポート終了の影響もさることながら、IDCやGartnerの調査結果を見ると、2019年のグローバルPC市場は数年ぶりの成長を遂げている。国内市場も消費税増税の駆け込み需要などが影響し、Windows 10 HomeのOEMライセンス増に寄与したのだろう。
Microsoftの発表によれば、Windows 10が動作しているデバイス数は現在9億台。筆者は日々ITベンダーの発表会に出席しているが、数年前まではWindows 7上でプレゼンテーションする担当者は少なくなかった。だが、2019年を振り返ると、Windows 7のデスクトップを目にしたのは、両手で数えられるくらいに思える。
2015年7月の登場から4年半を数えるWindows 10だが、着々と浸透して数字の上でも結果を示した。仮に、企業がWindows 7のサポート期間を最大3年延長するESU(Extended Security Updates)プログラムを購入した場合、2022年12月に再びサポート終了を迎える。それまでにはWindows 10稼働デバイス数「10億台」の数字を目にできそうだ。
阿久津良和(Cactus)