昨今、悲惨な子どもの犯罪被害をニュースで目にすることが増えました。どこにいても安全とは言い切れない環境で、子どもの防犯対策は、親にとって大きな課題ですよね。
そこで今回は、このほど都内で行われた「子ども安全フォーラム2020」(主催: Hamee)を取材。子どもたちを犯罪から守る方法を学んできたのでご紹介します。
子どもの犯罪被害が起きやすい場所とは?
同フォーラムでははじめに、防犯ジャーナリストの梅本正行さんが、子どもの身近に潜むリスクや、被害の防ぎ方について説明しました。
梅本さんは、8,000件以上の犯罪被害について調査してきた経験をもとに、実際に子どもが巻き込まれた犯罪事例を紹介。
例えば駐車場では、停めてある車に不審者が待機していて、車に近づいた子どもが連れ去られてしまう事件があったそうです。
また、子どもの居場所である公園でも、犯罪が起こっているのだとか。子どもの連れ去り事件や痴漢など、頻繁に犯罪が起きている公園には出入り口が9つあったそうで「出入口の多さが犯人の逃走経路の多さにもつながる」と指摘し、注意を呼びかけました。
さらに「道路に背を向けてベンチが置かれている公園」も犯罪が起きやすいとのこと。犯罪者にとっては、ベンチに座っていても道路から顔が見えないため、目撃されにくいメリットがあるそうです。ベンチに座りながら遊具で遊んでいる子どもたちを観察でき、不審がられずに連れ去る子どもを選定できるといいます。
子どもが巻き込まれる事件は、その多くが自宅のごく近くで発生しているそうで、梅本さんは「働く母親が増えているため、近所の目で守るという過去の防犯は今や通用しなくなってきている。集団下校をしていない学校も多く、子どもたち自身も自衛をしなければならない段階にきている」と警鐘を鳴らしていました。
防犯ブザーは鳴らしたら投げろ!
子どもたちの自衛手段として最もポピュラーなのは「防犯ブザー」を持ち歩くことかもしれません。しかし、同イベントを主催したHameeの調査では、防犯ブザーを子どもに持たせている親は、全体の約半数だったことが分かりました。
これについて梅本さんは「防犯ブザーを持っていても電池が切れていたり、壊れていたりする場合もあり、持たせていれば安心というわけではない。きちんと動作するかどうか頻繁にチェックしてもらいたい」と訴えました。
さらに、防犯ブザーを鳴らしても犯人に壊されてしまった事例を挙げ、「防犯ブザーを鳴らしたら、それを民家の方に投げればいい。そうすると、犯人は音を止められないので、逃げていく可能性が高くなります」とアドバイスしていました。
ITリテラシーは"親子で一緒に"身につけて
インターネットを通じた犯罪も増えている昨今、子どもにITリテラシーをどう身につけてもらうかも、大きな課題。一方で、同調査によれば「子どものITリテラシーについて、いつも意識しているか」という質問に対して「意識している」と答えたのは約半数で、まだまだ親の意識が追いついていない現状もあるようです。
これについて梅本さんは、子どもにスマートフォンを与えたことがない人もいて、具体的な対策ができていない人が多いのではないかと推測していました。
イベントに参加していた母親から「親自身もITリテラシーについて分からないことがある」という悩みが寄せられた際には、「子どもから教えてもらえることも多いので、親子で知識をつけていくといいのではないか」とエールを送っていました。
今や「危険だから」「使いすぎるから」という理由でスマホなどのITツールを遠ざけることは難しい時代。便利なツールとITリテラシーをセットで与えることで、防犯にも大きなメリットがありそうです。
子どもの防犯への意識、備えあれば憂いなし、ぜひ一度、子どもの身の回りの防犯対策を見直してみてはいかがでしょうか?