東京2020大会の選手村の交流施設である「選手村ビレッジプラザ」が報道陣に公開、プレス向けの施設撮影会が29日に実施された。同日には選手村ビレッジプラザで使用する木材を提供した各自治体の首長たちを招いた式典も開催され、東京2020組織委員会会長の森喜朗氏らが出席した。
自治体の名前が印字された木材でオールジャパンをアピール
選手村ビレッジプラザは、大会期間中の選手の生活を支える施設として、雑貨店等の店舗、カフェ、メディアセンターなどが配置され、認証を受けたオリンピック・パラリンピックファミリーや、メディア関係者、選手村の居住者の関係者が訪れる施設。
東京2020大会では、ゲストパスセンターや選手村メディアセンターなどを備えるA棟から、インターネットラウンジ&カフェとなるE棟までの5棟で構成され、後利用のしやすさを考慮した木造の仮設建築物として計画された。
延床面積は5,300平方メートル(5棟分)、使用木材は約4万本(約1,300立方メートル)で、基本設計は日建設計、施工は熊谷組・住友林業JVが担当している。
B棟にはドライクリーニング、救急ステーション、ヘアサロン、チケットボックスオフィスが。C棟には雑貨店とオフィシャルショップを用意。D棟には銀行やATM、配送カウンター、プラザインフォメーション、写真店、郵便局、ツーリストインフォメーションといった施設を配置する。
東京2020組織委員会はオールジャパンで大会を盛り上げ、環境に配慮した持続可能な大会を実現するため、仮設施設である選手村ビレッジプラザを全国の自治体から借り受けた国産木材で建設するプロジェクト「日本の木材活用リレー ~みんなで作る選手村ビレッジプラザ~」を始動。
提供自治体の名前が印字された木材をビレッジプラザの様々な箇所に使用することで、多様性と調和を表現するというコンセプトのもと、2017年9月に木材募集が行われ、全国の63自治体から木材が提供された。
選手団の入村式などで多くの人の目に触れることになる選手村ビレッジプラザだが、大会後は解体され、各自治体に返却された木材は学校や役所などの公共施設の資材に再利用されるという。
東京2020組織委員会会長の森喜朗氏らが出席した式典には、自治体首長を代表して東京都知事の小池百合子氏と、県の面積の82%が森林を占める岐阜県知事の古田肇氏があいさつ。
木材の活用を推進する全国知事会の国産木材活用プロジェクトチームでリーダーも務める小池知事は、「東京都は購買力をできるだけ生かして全国各地の木材を活用していきます。治山治水は基本中の基本ですが、災害の起こる前に山を動かして健全な地域づくり・防災対策を進めてていくことこそ重要。これからもしっかりと木を使いながら、国・地方を守っていく連帯を表明したいと思います」とコメントした。
また、伊勢神宮の御用木で名古屋城の本丸御殿にも使われる東濃桧と、木目の美しい木である長良杉を提供した岐阜県の古田知事は、「木の香りが心地良い空間を満喫させていただいています。巡っているうちに全国63自治体皆さまのオリンピックへの思いが伝わってくるような気持ちがしました」と、内覧した感想を述べ、「東京2020大会は地域の資源や魅力を発信する歴史的なチャンスではないかと思っています。それぞれの地域の持ち味を生かしながら、お手伝いができれば」と語っていた。
ビレッジプラザの竣工は2020年4月の予定で、各自治体への木材の返却は2020年10月~2021年2月頃を見込んでいる。