東京2020組織委員会は27日、三鷹市立羽沢小学校にて「東京2020算数ドリル 実践学習会」を開催した。東京2020教育プログラムの一環として都内の公立小学校を中心に、これまで計14回を実施してきた実践学習会もこれが最終回。羽沢小の6年生48名がプロバスケットボール選手と一緒に”体育のような算数”の実践学習会を体験した。
確率って、どう求めるの?
この日、三鷹市立羽沢小学校を訪れたのは、バスケットボール 日本代表候補の田中大貴選手と安藤誓哉選手。実践学習会の狙いは、バスケットボールのシュート成功率を題材にして『確率』について学ぼう、というものだった。
集まった子どもたちは、まず座学で確率の求め方について確認する。担当の先生が「皆さん、百分率を求める公式は覚えていますか? シュートが入った数÷シュートした数×100でしたね」と復習を促した。
そして拍手の中、田中大貴選手と安藤誓哉選手が登場した。Bリーグで活躍する憧れのプロ選手を前にして、子どもたちも「よろしくお願いします!」と挨拶に気合が入る。
ストレッチをし、身体を動かしてウォーミングアップを済ませると、次はシュート練習。体育館中にバスケットボールを突く音が響き渡った。安藤選手からは「膝を使って、身体全体でボールを投げるように意識してください」とアドバイスが飛んだ。
そして1組A~D、2組E~Hの8チームに分かれると、チーム対抗でシュートの成功率を競い合った。上位2チームが田中選手、安藤選手と対決できるとあり、あちこちで歓声や落胆の声が飛び交う。シュート後は、鉛筆を使って計算。さて気になる結果は......?
計算の結果、シュートの成功率83%という好結果を残した1組D、2組Fの計12名の子どもたちで選抜チームを結成することになった。
学年全員の声援を受けて12名がシュートを打った結果、6名が成功した。つまり成功率は50%だった。
次に田中選手、安藤選手が大人用のバスケットリングをめがけて合計8本のスリーポイントシュートを打つ。5本以上を決めればプロの勝ち、4本だと同率、3本以下だと子どもたちの勝ちになる。子どもたちは、スリーポイントラインの内側なら選手の邪魔をしても良いルールとなった。
結果は、8本のうち6本のスリーポイントシュートを決めたプロが成功率75%で勝利した。負けて悔しがる子もいれば、「リングにボールが届くだけでもすごいのに」とプロの成功率の高さにあらためて驚く表情の子どもの姿も。最後まで、子どもの笑顔があふれていた。
最後に質問コーナーがもうけられた。「落ち込んだときに、どうやって立ち直っていますか」。そんな切実な質問に、田中選手は「すべてが上手くいくわけではありません。プロ選手でもシュートを外すことがあります。ミスをすることもある。あまり1つ1つのミスを考えすぎず、次、どうするかを考えることです。どんどんチャレンジしてください」とエールを送った。
参加した何人かの子どもたちに感想を聞くと「めったにない機会。オリンピックに選ばれる選手と会えて嬉しかった」という意見があったほか、「バスケのことはあまり知らなかったけれど、こういうきっかけがあると好きになる」「プロの選手と交流する貴重な体験ができました」「直接、質問できたのが良かった」など、喜びの声があふれていた。
4月から1年間、学習してきた東京2020算数ドリルについては「普通の算数ドリルより親しみやすかった」「楽しく勉強できた」と好評。また、オリンピックで注目する競技について聞くと、バスケットボールのほか「久しぶりに競技に選ばれた野球」「ダンスをやっていて表現するのが好きなので新体操」といった回答もあった。
また、田中選手と安藤選手にも話を聞いた。両選手とも、東京2020算数ドリル 実践学習会に参加するのは今回が2度目だったという。小学生と触れ合うイベントについては「やっていて楽しい。こっちがパワーをもらえます」(田中選手)、「試合後で疲れていても、小学生たちから元気をもらえます」(安藤選手)と、両選手とも楽しんだ様子。
競技を始めたきっかけについては、幼稚園の頃からバスケットボールに慣れ親しみ、小学校に入るとミニバスを始めたという安藤選手に対して、田中選手は「はじめからバスケットをやりたかったわけではなかったんです。仲の良かった友だちの影響で、小学2年生のときに始めました」と意外とも思えるエピソードを明かした。
オリンピックに向けて意気込みを聞くと「絶対に出場したい。日々の毎試合を大切にしていくことだと思っています」(安藤選手)、「いよいよ間近に迫ったという実感があります。まだ出場が決まった選手はいませんが、何とか選ばれてコートに立ち、パフォーマンスしたいという思いが高まっています。残りの時間を大切にしていければ」と気を引き締めている様子だった。