3期ぶりの復位に向けて前進。2年連続で挑決を戦う
1月30日に東京・将棋会館で第13期マイナビ女子オープン本戦準決勝(主催:マイナビ)の加藤桃子女流三段-塚田恵梨花女流初段戦が行われました。結果は加藤女流三段が勝利。挑戦者決定戦へ駒を進めました。
振り駒で先手番となった塚田女流初段は、横歩取りの展開からすぐに横歩を取らない工夫を見せます。いったん陣形を整えてから、満を持して横歩を取りました。
飛車の利きが2筋から3筋へ逸れたことで、2八に角の打ち込みの隙が生じました。これは誘いの隙なのか、本当の隙なのか。それが本局の焦点となりました。
加藤女流三段は小考の後、2八に角を打ち込みました。この角が馬になり、さらに働けば加藤女流三段が優勢に、逆に封じ込められると塚田女流初段が優勢になります。塚田女流初段は角、金、銀を使って全力で封じ込めにかかりました。
双方の主張が真っ向からぶつかり、どちらの狙いが成就するかが注目されましたが、読みが上回ったのは加藤女流三段のほうでした。2筋の歩を2四~2五と伸ばしていき、8五の飛車を8四~2四と大転回したのが見事な構想。先手は馬だけなら閉じ込めることができましたが、飛車まで使われて2筋を攻められるとひとたまりもありません。先手の守備網は崩壊し、後手は駒得を果たしながら馬を世に出すことに成功。優勢になりました。
ゆっくりしていると駒損が響いて勝負にならないとみた塚田女流初段は、飛車を切って後手玉に攻めかかります。しかし、金銀の連結が良く、隙のない陣形の後手玉に剣先が届くことはありませんでした。逆に、さらに駒を蓄えた後手に玉頭から反撃され、粘ることができずにあっという間に寄せ切られ、80手で決着。加藤女流三段の勝利となりました。
加藤女流三段は1995年3月生まれの24歳。タイトルを女王4期、女流王座4期の計8期獲得している女流トップ棋士です。これらのタイトルはすべて奨励会在籍時代に獲得したもので、当時は女流棋士ではありませんでした。2019年3月に残念ながら奨励会は退会となってしまいましたが、同年4月から女流棋士として心機一転、再スタートしています。
マイナビ女子オープンでは第7期から10期まで女王のタイトルを4連覇。18年の第11期マイナビ女子オープン五番勝負で西山朋佳奨励会三段(現女流三冠)に敗れて女王を失冠してしまいました。昨年も挑戦者決定戦まで進んだものの、里見香奈女流四冠に敗れてリベンジとはなりませんでした。
本対局後のインタビューで加藤女流三段は「挑戦者決定戦に出場できてうれしい。対戦相手はどちらが来られてもかなりの強敵なので、私なりに対策を立てて、納得のいく将棋を指せればいいなと思います」と語りました。加藤女流三段の挑戦者決定戦の相手は、清水市代女流六段-伊藤沙恵女流三段戦の勝者です。