東京2020大会の日本代表選手団公式服装(開会式用・式典用)と、テクニカルオフィシャル(審判などの技術役員)ユニフォームのデザイン発表会が、23日に開催された。
発表会には実際に日本代表選手団が開会式で着用する公式服装に身を包み、競泳の瀬戸大也選手ら、アスリート6名が登壇。公式服装の感想や大会への意気込みなどを語った。
共生をテーマに初のオリ・パラ統一デザイン
“ニッポンを纏う”をコンセプトに生まれた今回の日本代表選手団公式服装(開会式用・式典用)は、オリンピック・パラリンピックの「共生」をテーマに初めて統一デザインを採用。幅広いサイズ対応はもちろん、選手の様々な要望に応え、パーソナルオーダーで作製される。
作製を担当したAOKIホールディングスの青木擴憲会長は、冒頭挨拶で「今回の公式服装の作製事業はオリンピック・パラリンピック同一のデザインで、過去大会の約2倍の選手団、総勢1,600名という壮大な規模です。全世界が注目する世紀の祭典の開会式で、ホスト国として世界中の皆さまをお迎えするに相応しいデザインを企画しました。選手一人ひとりのご要望にお応えするため、全国のAOKIスタッフ5,000名から選抜されたスタイリスト300名態勢で、採寸に当たります」と述べた。
その後、開会式用の公式服装を着用した瀬戸大也選手(競泳)、三宅宏実選手(ウエイトリフティング)、黒木茜選手(馬場馬術)、上山友裕選手(パラ・アーチェリー)、前川楓選手(パラ・陸上競技)、土田和歌子選手(パラ・トライアスロン)が登場した。
高いストレッチ性と通気性を併せ持つ素材を使用するなど、暑さ対策を施しながらも高い着心地を実現している今回の公式服装について、数々の過去大会で日本代表選手団の公式服装に袖を通してきた土田選手は、「障害に合わせて上半身と下半身のサイズを測って、作っていただいたことで非常に動きやすいものになっています」とコメント。
上山選手は「僕ら車椅子の選手は白いジャケットだと袖が車椅子に付いて汚れやすいので、袖を通常よりもちょっと短めにして袖がタイヤに当たらないような工夫をしていただきました」と語った。
発表会では開会式用と同様、“ニッポンを纏う”のコンセプトのもと、“力強く爽やかなフォーマリティ”をテーマに作製された式典用の公式服装も初お披露目。開会式用・式典用ともにボトムは選択制で、男性はノータックパンツ・ワンタックパンツから、女性はパンツ・キュロットから体型や好みに合わせて選べる仕様となっている。
半年後に迫った大会に向け、瀬戸選手は「東京2020は夢の舞台ですし、自分の夢はやはりオリンピックで金メダルを獲るということなので、東京2020で叶えられるように頑張りたいと思います」と、意気込みを述べていた。
「暑さ対策・多様性・持続可能性」に配慮したユニセックスデザイン
また、東京2020大会で審判などの技術役員が着用するテクニカルオフィシャルユニフォームについても発表がなされた。
テクニカルオフィシャルユニフォームは、フォーマルウェアとカジュアルウェアの2種類。東京2020大会での新たな試みとして「暑さ対策・多様性・持続可能性」の3点を軸に開発され、フォーマルウェアではネックタイ/スカーフを自由選択制にし、スラックススタイルに統一するなど、ユニセックスデザインが採用された。
フォーマルウェアの制作を担当したAOKI ホールディングスの青木彰宏社長は、「各アイテムのデザインは組織委員会とAOKIのデザインチームで企画し、コアグラフィックの一色である紅色をジャケットの裏地や小物に使用しています。屋内外での様々な着用シーンを想定し、幅広い着まわし性にこだわったデザインです」と紹介。
素材の一部にトウモロコシ由来のポリエステル繊維や再生繊維のキュプラを使用し、石油使用の削減や有害物質の抑制するほか、焼却時にCO2を吸収する素材を製品の包装材に利用するとした。
カジュアルウェアを制作したアシックスの取締役常務執行役員・松下直樹氏は、「アシックス スポーツ工学研究所の人工気象室でのテストや真夏の競技場近くで着用テストを繰り返し、衣服内の温度を下げるための通気性を暑さ対策として重視しました。年齢・性別・体型にとらわれないシルエットで、再生ポリエステル材や植物由来の素材を多く取り入れるなど、様々な観点から環境に配慮しています」と説明した。
東京2020大会を支えるテクニカルオフィシャルの人数は5,000名強を想定しており、2種類のうちどちらを採用するかは各競技連盟が競技特性などに応じて判断するという。ストリート系競技などの着こなしについても、それぞれの競技連盟に委ねられるようだ。