以前からMicrosoftが表明していたとおり、Surface Duo用SDK(プレビュー版)を米国時間2020年1月22日に公開した。目的は開発者が自身のAndroidアプリをデュアルスクリーンに対応させるためである。SDKにはディスプレイマスクやヒンジ角度を検出するセンサーなどデュアルスクリーンに関連するAPIと共に、Android Duoイメージを含んでおり、実行にはAndroid Studioが必要だ。

  • AndroidエミュレーターでSurface Duoイメージを起動した状態

筆者の環境はAndroidエミュレーターを高速化するIntel HAXMに未対応のため、快適な動作とはいえないのだが、さっそく試してみた。Surface Duoのように複数のアプリを起動する感覚は、特異なものであることは十分に体感できた。2020年末に登場するSurface Duoに関心をお持ちの読者諸氏も、環境を整えて試してみると面白いだろう。

  • 2つのアプリ(Microsoft Edgeと設定)を各ディスプレイで起動してみた

個人的にSurface Duoよりも興味深いのが、Windows 10Xだ。公式ブログによれば、米国時間2020年2月11日にWindows 10Xのプレビュー版SDKのリリースを予定しているという。Microsoftは、デュアルスクリーン用Windows APIを使用すると、各スクリーンにまたがるアプリ開発が可能になるとしている。

Surface Duo用SDKと同じくWindows 10X用SDKは、Windows 10Xを実行するMicrosoftエミュレーターを含んでおり、UWPアプリとWin32アプリの実行が可能。システム要件としては、64ビット版Windows 10(Pro・Enterprise・Education)、4コア以上のCPU、8GB以上のメモリー(16GB以上を推奨)、Hyper-V環境、Direct X 11.0以降対応のGPU、Windows Insider Previewが必要となる。

  • Windows 10Xエミュレーター(公式ブログより抜粋)

キーポイントとなるのはWin32アプリの動作。MicrosoftエミュレーターはHyper-Vで動作するため、厳密なパフォーマンス比較は難しい。それでも互換性の観点で見れば、「秀丸が動く?」「ATOKは安定動作する?」などを検証できるのは大きいだろう。他方でデュアルスクリーン特有の新たなユーザー体験にも興味がわく。MicrosoftはWindows 10Xプレビュー版SDKリリースに合わせたオンラインイベント「Microsoft 365 Developer Day」を2月11日午前8時30分(太平洋標準時間、日本は午前1時半)から開催するので、興味を持たれた開発者は参加してみてはいかがだろうか。

阿久津良和(Cactus)