七番勝負は1勝1敗に。また、渡辺明王将への連敗を5で止める

1月25、26日に大阪府高槻市「山水館」で、第69期大阪王将杯王将戦七番勝負第2局(主催:スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社)が行われました。結果は挑戦者の広瀬章人八段が、渡辺明王将に勝利。七番勝負の成績を1勝1敗のタイにしました。

先手の広瀬八段は角換わり腰掛け銀戦法を採用。50手ほどは定跡形ということもあり、両者時間をあまり使わずにすらすらと手が進んでいきました。しかし、後手の渡辺王将が変化し前例を離れてからは、1手1手慎重に時間を使う進行に。そして59手目、広瀬八段は大長考に沈みます。8時間の持ち時間のうち、実に三分の一にあたる162分を費やして開戦を決断。1~3筋の歩を連続で突き捨ててから、銀取りに5筋の歩を突いたところで1日目が終了。封じ手となりました。

2日目に入ってから広瀬八段の攻めは激しさを増しました。銀取りを受けた後手に対して、まずは銀で桂を食いちぎります。金取りに角を打たれても、それを受けずに攻めを継続しました。双方駒を取り合い、馬を作り合ってひと段落した局面は、駒の損得では損をしているものの、先手は馬を敵玉近くの寄せに働く好位置に作った上に、手番を握っています。ここで広瀬八段がリードを奪いました。

良くなってからも広瀬八段は攻めの手をゆるめませんでした。歩の打ち捨てや突き捨てなどの小技と、桂捨てや飛車切りの大技を織り交ぜつつ玉を追い詰めていきます。最後は自玉に詰めろがかかりましたが、そこで間違える広瀬八段ではありません。しっかりと読み切り最後は後手玉を詰まして117手で勝利を収めました。

名人挑戦を早々に決め、叡王戦では挑決に進出するなど、今最も乗っている棋士である渡辺王将を相手に、一方的に攻め倒した広瀬八段。快勝で七番勝負の成績を1勝1敗にしました。第44期棋王戦五番勝負の決着局、JT杯決勝、A級順位戦、叡王戦本戦準々決勝、今期王将戦第1局と、どれも重要な対局で渡辺王将に5連敗を喫していた広瀬八段ですが、ようやく連敗ストップ。この勝利で流れが変わるかもしれません。

次の第3局は2月8、9日に栃木県大田原市「ホテル花月」で行われます。ここを制して再び渡辺王将がリードするのか、それとも広瀬八段が一気に連勝するのか、タイトル戦のゆくえを占う重要な一戦になりそうです。

藤井聡太七段との直接対決を制して番勝負の舞台に登場した広瀬八段。簡単には負けられない