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【この記事のエキスパート】
唎酒師/日本酒ライター/コラムニスト/蔵人/フリーランス女将:関 友美
日本酒アドバイザーや飲食店勤務を経て、現在は「とっておきの1本をみつける感動を多くの人に」という想いのもと日本酒の魅力を発信するさまざまな活動をおこなっている。
記事執筆、セミナーや講演、酒蔵での酒造り、各地の酒場での女将業など、あらゆる場所、あらゆる手段で日本酒の美味しさと日本文化の豊かさ、日本の各地方の魅力を伝えている。
日本の南部に位置し、温暖な気候の愛媛県。実はかくれた良質の酒どころで、現在県内には小さな酒蔵が35も存在しています。この記事では、そんな愛媛の日本酒の選び方とおすすめ商品をご紹介します。人気の辛口や県外の人にはあまりなじみのない日本酒も厳選しています!
口触りがよく、甘みのある味わい
愛媛の日本酒の特徴
愛媛県の日本酒は、口触りがよく、甘みのある味わいが特徴。四国の水産物である白身魚などの料理と相性がいいです。
歴史も長く、400年前から愛媛の日本酒が製造され、「伊予の女酒」と呼ばれるほど有名で、人気のある老舗地域。愛媛の県内には、歴史的な蔵元が40以上も存在し、様々な名産が生まれ、一つひとつがブランドになっています。
代表的な蔵元をご紹介
それぞれの蔵元の特徴やこだわりを知ると日本酒の味わいも格段によくなることでしょう。ここではみなさんに人気のある銘柄や隠れた銘酒を発売する蔵元までご紹介していきます。
●成龍酒造|代表銘柄は「伊予賀儀屋」
食べ物との相性にとどまらず、食事やその時間を引き立てるお酒造りを掲げる蔵元です。飲み飽きしない酒が特徴。
●近藤酒造|代表銘柄は「華姫桜」
少量多品種生産により、特徴ある酒造りにチャレンジする蔵元。味わいある旨口が得意。
●石鎚酒造|代表銘柄は「石鎚」
杜氏制を廃し、蔵元家族中心の酒造りを行う蔵元。食中に活きる酒を目指し、純米酒・純米吟醸酒を中心に醸造しています。
●首藤酒造|代表銘柄は「寿喜心」
家族経営の小規模蔵元。酒の肴がなくてもおいしく味わえる酒造りがモットー。全12品のラインナップ。
●梅錦山川|代表銘柄は「梅錦」
設備の近代化により昔ながらの杜氏の経験を究極まで活かす酒造りが特徴。日本酒以外にもリキュールやビールなども手掛ける。
●雪雀酒造|代表銘柄は「雪雀」
麹造りにとことんこだわり中硬水の井戸水をろ過した水で醸した日本酒。40年以上にわたり、酒造りに携わってきた総杜氏による酒造りが今も続く。ラインナップは豊富で30種類以上ある。
●かち鶴酒造|代表銘柄は「かち鶴」
搾りたての生酒を長期熟成した原酒に力をいれている蔵元。昔ながらの手造り・天然醸造にこだわり、原料である米も県内産「松山三井」にこだわって酒造りしている。
●協和酒造|代表銘柄は「初雪盃」
槽搾りや袋搾りなど昔ながらの製法にこだわった酒造りをしています。定番の銘柄以外にもプレミアム、限定ものなどラインナップは多数。飲みごたえのあるしっかりした味わいが特徴です。
●千代の亀酒造|代表銘柄は「千代の亀」
特定名称酒に特化して醸造する蔵元。米、人、水やラベルの紙などすべてに地元産を採用しているまさに「愛媛の地酒」です。
●酒六酒造|代表銘柄は「京ひな」
淡麗辛口の純米酒や大吟醸を愛媛ではいち早く手掛け、今では同社の特徴にもなっています。トップブランドである「七星剣」、キレのある飲み口で人気の「一刀両断」などがあります。
●中城本家酒造|代表銘柄は「城川郷」
愛媛の地酒にこだわり、原料米には県産米を使用。旨味のあるやさしい味わいが特徴。
●西本酒造|代表銘柄「虎の尾」
本醸造酒をメインに醸造・発売する蔵元。代表銘柄である「虎の尾」の歴史は古く約200年以上。現在「虎の尾」を筆頭に全10種類のラインナップです。
酒米・水など
愛媛の日本酒の選び方
愛媛の日本酒を選ぶときのポイントをご紹介します。ポイントは下記。
【1】愛媛県ならではの酒米
【2】愛媛県の美しい水
【3】愛媛県内の地域による違い
上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
やわらかい味わいを楽しむ
【1】愛媛県ならではの酒米で選ぶ
愛媛には、「松山三井」と「しずく媛」という2種類の酒造好適米があります。愛媛の地酒を存分に堪能したいと考えるなら、原料米にもこだわってみるとよいでしょう。
松山三井
まずはじめに食用米と酒造好適米の大きな違いは、心白といって、米の中心にたんぱく質の空洞があるかどうかです。心白があると、麹菌が深く食い込むので、しっかりと作用する麹米がつくりやすくなります。また酒造好適米は、食用米より大粒でたんぱく質が少なく、吸水しやすい酒づくりに適したお米です。
愛媛県では、県産の食用米「松山三井」による酒づくりがおこなわれてきました。頻繁に愛媛の食卓で登場する品種で、お酒にしたときに、米の旨味が出てやわらかい味わいになる傾向があります。
しずく媛
造れるお酒の味わいのバリエーションを増やす研究の末、2009年に念願の愛媛県産酒造好適米「しずく媛」が誕生しました。
「しずく媛」は、もとは「松山三井」なので、似た部分も持ち合わせていますが、比べると少しシャープでスッキリとしたお酒をつくりやすい傾向にあります。現在では他県でも使用されている良質の「しずく媛」。
「松山三井」か「しずく媛」か、飲むシチュエーションによって選び分けてみてください。
【2】愛媛県の美しい水で選ぶ
石鎚山をはじめとする四国山地からは、豊富な伏流水が湧き出ています。日本酒づくりには、瓶や道具洗いや仕込みに使うものをすべて含めて、酒量の約8倍もの水が必要だといわれています。その点、愛媛は「うちぬき」といって、鉄のパイプを15~30mほど打ち込むだけで地下水が湧き出てくるという地域まであるような、とても美しく、おいしい水の資源豊かな場所です。
軟水がほとんどなので、ゆっくりじっくりと発酵したおだやかな味わいのものが多くなります。心許せる人とグラスを傾けるとき、ほっと落ちつく味わいの愛媛の酒を選んでみてください。
【3】愛媛県内の地域による違いで選ぶ
山と海に囲まれた愛媛県は、東予、中予、南予という3つの地域に分かれています。それぞれに独特の風土があり郷土料理があって、人の気質も違ってくるので、酒のタイプも変わります。とはいえ、瀬戸内の温暖な気候は、飲む人、つくる人の気持ちをおだやかにしているようで、その人柄をあらわしたような安らぎを感じる酒質です。
全国的に見ると「どれもやわらかで落ち着いた味わいで、少し甘めである」ことを念頭においたうえでお話します。
東予はすっきりとしたタイプ
中予は淡麗で旨みのあるタイプ
南予は酒らしい深みと味わいのあるタイプ
これを目安に選んでみてください。
唎酒師のアドバイス
精米歩合によって使い分けたい!
【エキスパートのコメント】
地元の食用米「松山三井」、それをもとに開発した「しずく媛」を多く使用して酒づくりをおこなっている愛媛県。
自宅でゆっくり楽しんだり、居酒屋で気心知れた仲間と団らんする場面におすすめしたい、おだやかで味わいのバランスがいい愛媛県のお酒ですが、自宅用なら「純米酒」や「純米吟醸酒」、とっておきの場面には「純米大吟醸」や「大吟醸」を選ぶことで変化をつけることができそうです。参考にしてみてください。