メッシュWi-Fiとは、多対多の関係で接続するWi-Fiネットワークの通称です。規格で定められた用語ではありませんが、親機と子機という関係で接続される従来のWi-Fi機器に対し、基本的には同格でアクセスポイントが増えるところが特長です。
アクセスポイント/中継機を複数設置してWi-Fiの電波を広範囲に供給することも、メッシュWi-Fiの特長といえます。文字どおりメッシュ(網目)のように相互接続されるため、家中どこにいても安定して電波が届くネットワーク環境を作り出すことができ、中継機を買い足せば電波強度を補うことも可能です。スマートフォンやパソコンなどの端末が増えたとしても、もっとも電波の状態がいいアクセスポイントに接続することで通信が分散されるメリットも期待できます。
メッシュWi-Fiの共通規格としては、標準化団体のIEEEが2012年に公開した「IEEE 802.11s」が存在します。アクセスポイントとして機能する「MAP(Mesh AP)」とそのクライアントの「STA(STAtion)」、そして通信の中継だけを行う「MP(Mesh Point)」で構成され、MAPとSTAの間は従来のWi-Fi技術(IEEE 802.11a/b/g/n)で接続されます。
ただし、メッシュWi-Fi対応をうたうネットワーク機器は、規格が一本化されていない現状があります。一般消費者向けの製品としては、Qualcommが2016年に発表した独自技術「Wi-Fi SON」に対応するもの、TP-Link独自の「TP-Link ART」に対応するもの、Googleの「Google Nest Wifi」のようにIEEE 802.11s準拠をうたいつつもスマートホーム機器接続のサポートなど独自機能を含むものなど、メーカーが異なると相互接続性は失われがちで、各社とも複数のルータ/中継機をセットにしたメッシュWi-Fi製品を展開しています。