今回は、ゲーミングデバイスの品ぞろえに定評のあるパソコンショップ アークで、マウスの売れ筋を取材しました。
フロアマネージャーの渋谷義寛氏によると、近ごろは軽量で機敏に反応するゲーミングマウスが人気を集めているそうです。「2019年の夏ごろから、ボディに無数の穴を開けて軽量化した“肉抜きマウス”が流行しています。FPS(ファーストパーソン・シューティング)など、激しいマウス動作が求められるゲームで愛用されていますね」とのこと。ボタン数は標準的で、基本的な形状も汎用的なことから、仕事用としても使えるメインマウスにしている人も少なくないといいます。
そうしたトレンドを反映すべく、2019年下半期から2020年年初まで含めたロングスパンの売れ筋ランキングを紹介してもらいました。下記で挙げた店頭でのマウス選びのコツ三箇条を踏まえ、売れ筋モデルを追いかけていきましょう。
- 前評判や仕様だけで決めず、店頭で展示機を手で持って使用感を確かめることが大事
- フィット感を確かめたうえで、センサーの種類やカスタム性をチェックして絞り込むのがベター
- 売れ筋モデルの価格帯は7,000~8,000円前後だが、1万円を超える人気モデルも多い
※本文と写真で掲載している価格は、2020年12月17日15:00時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。
第1位:肉抜きマウスの草分けブランド・Finalmouse「Ultralight 2-Cape Town」
ロングランで一番人気となっているのは、Finalmouseの「Ultralight 2-Cape Town」でした。税込み1万3979円と高価な部類のマウスながら、2019年8月に登場するとすぐさま売り切れになり、その後は再入荷と売り切れを繰り返しているといいます。
USB接続の3ボタンマウスで、重量は47g。上下左右に六角形の穴が多数空いていて、ハニカム構造によって強度を維持する構造となっています。
「2018年10月に登場した『Ultralight Pro』から続く、肉抜きマウスのパイオニア的な存在です。Ultralight Proをさらに小型軽量化した尖った仕様になっているので、使う人を選ぶところはありますが、今でも指名買いが多いですね」
第2位:7,000円前後から選べる肉抜きマウス・Glorious「Model O/O-」
Ultralight 2に迫る勢いで売れているのは、8月末に登場したGlorious PC Gaming Raceの「Model O」と、小型版の「Model O-」です。それぞれ、光沢タイプやマッドタイプなど4種類のバリエーションがあり、税込み価格はModel Oが6,930円~7,920円、Model O-が6,930円~8,800円となります。いずれも肉抜き仕様で、本体重量はModel Oが67~68g、Model O-が58~59gです。
「肉抜きマウスは多くのメーカーから登場していますが、そのなかでも安定した人気がありますね。Ultralight 2と比べて価格的に買いやすいのと、サイズ的にこちらのほうが手になじむ人が多いのがポイントです。1位に返り咲く可能性もありますね」
第3位:ゲーミングブランドの定番・Razerの軽量マウス「VIPER」
3位も、8月下旬に登場したモデルです。PCゲーミングでファンの多いRazerから登場した軽量マウス「VIPER」で、税込み価格は9,878円でした。ボディに穴のないデザインながら、本体重量を69gに抑えているのが特徴のひとつです。
「Razerマウスのなかでも軽量で、センサーの優秀さやケーブルの柔らかさも評価が高いです。全体的に人気のあるブランドでバリエーションも多いですが、やはりこのVIPERが目立って売れていますね」
第4位:トップ3を猛追、秋登場の肉抜きマウス・Xtrfy「M4 RGB」
トップ3には8月に登場した軽量マウスが並んでいますが、11月に登場したXtrfy(エクストリファイ)の「M4 RGB」が猛追しているそうです。カラーは白黒のほかにピンクやブルー、ホワイト系のレトロなど5種類があり、税込み価格は8,487円~9,867円でした。肉抜きタイプで、本体重量は69gとなります。
「東京ゲームショウ2019でも話題になって、実機を触ってみたいということで来店された方が多かったですね。カラーバリエーションを含め、複数台を買っていく人もたくさんいらして、品薄気味な時期が続きました」
第5位:シックで軽いENDGAME GEAR「XM1」
もうひとつ注目度が高いモデルが、11月に登場したENDGAME GEARの「XM1」です。左右対称デザインを採用し、本体重量は70gとなります。クリックの応答速度が0.001秒以下というレスポンスが大きな特徴です。税込み価格は6,580円ですが、取材当日は次回入荷待ちとなっていました。
「ドイツのゲーミングデバイスメーカーが出した軽量マウスです。コスパ的にもちょうどよくて、センサーの評判も上々。ボディも日本人の手によくなじむみたいで、触れたうえで気に入る人も多いです」
はみ出し情報……置き場としても人気の「マウスディスプレイ台」
マウス売り場周辺では、長尾製作所の「マウスディスプレイ台 NB-MOUSE-DP03」もコンスタントに売れているとのことです。マウスを立てかけておける金属板状の展示台で、税込み価格は2,277円でした。
PCパーツや周辺機器を飾る台がコアな人気を集めていますが、マウスディスプレイ台は観賞用だけでなく実用目的で購入する人も多いそうです。
「普段から複数台のマウスをつないでいてゲームごとに選ぶというスタイルの人もいますが、使わないマウスが邪魔にならないように立てかけておく道具として買われていくことがあります」
著者プロフィール
古田雄介
フリーランスライター。『アキバPick UP!』(ITmedia PC USER/2004年~)や『売り場直送! トレンド便』(日経トレンディネット/2007~2019年)などのレポート記事を手がける。デジタルと生老病死のつながりにも詳しい。著書に『スマホの中身も「遺品」です』(中公新書ラクレ)、『ここが知りたい!デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)など。