突然ですが、皆さんは目標を立てますか? ちなみに私はありません。昔から守れたことがないので、あまり意味がないのですよね。そんな不真面目な筆者と違い、この時期ですと、年始の抱負や新年のチャレンジなどを考える人は多いかもしれません。
ところで、自分の目標を他人がたてる「タニモク」というワークショップがあり、しかも今回はさまざまな企業の人事担当者100名が集まってワークをするそう。なにそれ、昔あった「クイズ100人に聞きました」みたい!
ということで、先日、パーソルキャリアが主催した「人事限定『タニモク100人会』」の会場を見学してきました。
自分の目標を他人が立てる
参加者の内訳は、IT業界3割程度、メーカー2割、その他業界ということで、これが初対面となる人ばかり。果たしてうまくいくの? と筆者は思いますが、ファシリテーターを務めるパーソルキャリアの三石原士さんによると、「他人ごとだと、リスクを考える必要がないので、より冒険的な気持ちになれ、自分では思いつかない目標が出てきます。それが大事なんです」とのこと。
自分で目標を立てることすらできない筆者は論外ですが、他人だからこそ気付くなにかというのはあるでしょう。ということで、ワークショップが開始しました。
手順を簡単に説明すると、まず複数名でチームを組み、相手に自分の状況や課題を説明。それに対して質問を重ね、最終的に残りのメンバーが目標を立てて終了。詳しい手順は、別の記事で紹介していますので、参考にしてください。
いろんな課題が登場
当初に筆者がイメージしたものとは違い、全部で30近くのチームが一斉に話し、質問を重ねていくので聖徳太子でも聞くのは無理! ということで、2チームに着目して話を横から聞いていました。人事というポジションから、会社組織のことが多いのかなーと勝手に思ってましたが、意外とそうでもないよう。
例えば、ある担当者は社内で進めるべきプロジェクトに協力しない社員がいたり、チームワークがうまくいってない部署があったりして困っているそうです。そして、それがストレスとなり、家に帰るとついお酒を飲む量が増えているのだとか。それを他のメンバーに説明する時に使ったのが下の絵です。
なお、三石さんは、説明するうえで文字や言葉は「極力使わない」で、図や形など絵で表現するのが大事だと言います。「言葉よりも手を動かして作った絵のほうが、その人の無意識下にあるものが現れやすいんです」と解説します。
また別のチームでは、「自分の次のキャリアを皆さんで考えてください」と相談する担当者が。企業の経営・企画の仕事をしていた方ですが、大学時代に教育実習をしたこともあるくらい人が好き、そして1級建築士の資格も持つという幅広い経歴を持っています。
そして、今の職場ではやり切ったのか、新たなチャレンジを目指そうと考えているみたい。こんな風に、自分の人生設計を見ず知らずの人に考えてもらうのは、普段はないですよね。そして相談されたメンバーは、自分なりの考えでアイデアを出していくのです。
すると、「人生(生き方)の塾を作って、相手に選択肢を増やすようなことを教える」、「子育て世代、建築関連の教育ビジネスを立ち上げる」、「経歴を生かして教育と建築を掛け合わせたビジネスを展開する」などが目標として提案されていました。
この他人の目標を立てる際、面白いのが「私が〇〇さんなら~」という枕言葉で説明する縛りがあるのです。これは、三石さんの説明によると、「主観で目標を提示すること。そのほうがエッジが立ち、インパクトのある目標が出やすくなります」のが理由だそう。
他人の意見を聞く価値
最後は他人に提案された目標を踏まえ、自分の目標を発表。最初のチームの方は「声がけ目標20人 仲間10人を作りたい」、別チームの方は「事業と世代と人材をつないで楽しむ」と書いてました。どちらも、視野を広げた結果と言えるのでしょうね。
一連のワークショップを見て思ったのは、皆さん、すごく楽しそうにワイワイと話していること。もう一度言いますが、初対面のメンバーばかりですからね。お酒も入っていません!
また、この目標をそのままにせず、具体的なアクションプランに落とし込み、半年後にメンバー同士で振り返り回をすると、目標の修正や新しい目標が出るなど、継続することができると、三石さんは解説します。
ちなみに、今回のイベントへの参加理由をみてみると、「自分自身を客観的に知りたいから」、「人事制度や採用に関しての悩みを解決したい」、「仕事と家庭(育児)の両立や、今後のキャリアパスを見直したいと感じているため」、「一人で計画を立てることが多く、自分以外の意見を取り入れたいと考えたので」などが。参加した皆さんは、誰かの意見を聞いてみたいとは思っていたのですね。
面白い企画は複数名での雑談から生まれると、別の編集メンバーから聞いたことがあります。また、昔と違ってビジネス環境の変化が早いので、正解を出しづらい時代です。何かを判断する時、自分の基準以外のものを活用するのは良いものではないでしょうか。