2017年に実施された「次世代声優☆ミラクルオーディション」 で特別賞を受賞、その後、2018年4月より放送がスタートした TVアニメ『アイカツフレンズ!』の日向エマ役で声優デビューを果たした二ノ宮ゆい。そんな彼女が「ニノミヤユイ」名義でデビューアルバム『愛とか感情』を引っ提げ、ランティスレーベルよりアーティストデビューした。
今回はそんなニノミヤユイにインタビューを敢行。欅坂46の「サイレントマジョリティー」などでおなじみのバグベアをはじめ、カノエラナ、佐伯youthK、新羅慎二(湘南乃風:若旦那)、佐藤純一(fhána)といった気鋭のクリエイター陣が参加する本アルバムの聴きどころに加えて、「陰キャ」だという自身の性格や音楽遍歴などパーソナルなことについても話を聞いた。
●声優に興味を持ったきっかけは『響け!ユーフォニアム』
――まず、二ノ宮さんは「次世代声優☆ミラクルオーディション」で特別賞を受賞され、その後声優としての道を歩んでいったかと思います。そもそも、声優を目指そうと思ったきっかけは?
小さいころはあまりアニメを観る人じゃなかったのですが、中学生になってからハマり始めて。色々な作品を観ていたのですが、中でも吹奏楽部に所属していたということもあって、『響け!ユーフォニアム』にとても惹かれました。「分かる」と共感できるところ、逆にこんな青春もいいなと憧れちゃう部分、とにかく、すごく感情が揺れ動くアニメだと感じました。その理由って、内容はもちろんですが、役者さんのお芝居も素敵だったからだと思ったんです。そこから「声優」という職業に興味を持ち始めました。
――『響け!ユーフォニアム』を観たことで「声優」という仕事に興味が出た。
はい。それから、仕事の内容や色々な声優さんの活動を調べ始めて、TVアニメだけじゃなくて舞台でお芝居をすることもあるし、アーティスト活動されている方もいることを知りました。私は歌も大好きで、お芝居にも興味があったので、これは理想の職業なんじゃないかなと思ったんです。ただ、中学生の段階ではまだ「なれたらいいな」くらいの気持ちでしかありませんでした。
――実際に行動しようと思ったのは。
高校に入ってからも吹奏楽部を続けていたのですが、途中でやめちゃったんです。ただ、それまで吹奏楽しかやってこなかったので、次に熱中する何かを見つけないと、と焦っちゃって。そんなとき思い浮かんだのが「声優」。経験はありませんでしたが、「とりあえずやってみるしかない!」と思い立ち、オーディションに応募しました。
――行動がはやいですね!
一度心に決めたら、行動するのは、はやいほうだと思います。
――そして、2018年に『アイカツフレンズ!』の日向エマ役で声優デビューすることとなる。この作品ではエマとして歌われていましたね。
私、『ラブライブ!』も好きで、演者さんとキャラクターがリンクするのが、夢のようだなと思っていたんです。だから、私もキャラクターとリンクできるのがすごく嬉しくて。ひたすら嬉しかったんです。でも、これまでの『アイカツ!』シリーズって、演者とは別に歌唱を担当される方がいらっしゃった。『アイカツフレンズ!』から演者が歌うことに切り替わったので、こんなド素人の私が大丈夫なのか、という不安や心配も大きかったです。でも……だからこそ、最初から皆さんに認めてもらえるよう必死に努力しました。
――実際に作品を応援している方々の前で歌われたこともあったかと思います。
私自身は落ち着きめの声で性格も“陰キャ”なのですが、エマでいるときはポップなアイドルを感じていただけるようなダンスと歌にする!ということを常に意識しました。応援してくださる方々からはありがたいことに、「歌がお上手ですね」「歌声、好きです」と言っていただくことが多くて。それがすごく嬉しかったです。
――『アイカツフレンズ!』では色々な先輩方とも歌う機会がありましたね。
みなさん輝いていました。「Love Me Tear(ラブミーティア)」の田所あずささん、大橋彩香さんはソロアーティストとしても活動されているので、生で聞いたときの迫力や安定感が違うなと思いました。もう、「すごいな」という言葉しか出てこないくらい圧倒されて。どうすればそうなれるんだろうと懸命に考えました。
――ご本人にアドバイスをもらったことは?
いや! 恥ずかしくて……。すぐ緊張しちゃってなかなか先輩方とも話せなくて……。
――おふたりともレーベルの先輩でもあるので、これからそういう機会を作ることもできると思います。
そうですね……!
●ネガティブだけど、心の底では目立ちたいと思っている
――これまで声優活動のことを中心にうかがってきましたが、続いてはアーティスト「ニノミヤユイ」について。まずは、デビューするまでの経緯について教えてください。
普通の高校生だった私が、2017年の「次世代声優☆ミラクルオーディション」を経て、2018年に声優デビュー、それから1年ぐらい経ったタイミングで「来年アーティストデビューします!」と言われたんです。もう本当に驚きましたし、「私で大丈夫かな」という不安もありました。最初は途轍もなくプレッシャーを感じていたんですけども、元々歌うことが好きだったので、徐々に喜びを感じるようになりました。
――先ほども歌が好きとおっしゃっていましたが、最初からアーティスト活動もしたかった?
歌うことが本当に好きなので、歌には関わっていきたかったんです。だから『アイカツフレンズ!』で歌えたのも幸せでしたが、まさかのソロアーティストとしてデビュー。夢のようなお話で信じられなかったです。
――これまでのお話からも「歌」や「音楽」への熱を感じていますが、いつ頃から音楽に目覚めたのでしょうか?
そもそも両親が吹奏楽をやっていたので、小さいころからクラシックや吹奏楽の曲が家で常に流れている環境で育ったんです。演奏会にもよく行っていたので、日常のなかに音楽がありました。小学生の頃にはフルートを始めて、今も続けています。
――憧れのアーティストはいますか?
さユりさんやLiSAさん、あとはライブ映像を見て衝撃を受けたのはミオヤマザキさんです。歌詞が刺激的で、音楽自体はもちろんですがライブの演出もカッコいい。ガンと盛り上げられるパフォーマンスに憧れました。
――ご自身としても、そういうパフォーマンスをやっていきたい?
そうですね。あれくらい会場全体を巻き込んで盛り上がれたら楽しいと思うので、盛り上げ方もこれから勉強しなきゃと思います。
――好きな音楽のジャンルは?
育った環境もあるので、クラシックやブラスバンドが好きでした。ただ、小学校の高学年くらいからボーカロイドの楽曲、中でもテンポが速い曲やちょっと暗めなロック系の楽曲に惹かれるようになりました。最近は欅坂46さんの曲もよく聴きます。こういったところが私の音楽のルーツですね。やりたい音楽って何だろうって考えたときも、「暗いもの」、「心の内側を表現するようなもの」だと思ったんです。アルバムではまさにそれが表現できました。
――今回のアルバムにはニノミヤさんのパーソナルな部分が反映されている?
そうですね。アルバム制作時にはクリエイターの方々全員と直接お話をさせていただきました。私のパーソナルな部分や考え方を聞いていただいたうえで各楽曲を作っていただいています。だから、私の性格や内面がとても反映された一枚に仕上がっていると思いますね。
――ご自身としてはどういう性格だと思っていますか? 先ほど“陰キャ”という言葉もチラッと出てきましたが……。
ずばり、ネガティブですね。それゆえに人に嫌われたくないし、人にどういう風に思われているのか気にしちゃって。そういうのを自分のなかでうまく処理していくうちに、逆に「こうやっていれば他人と話さなくていいだ」と、ちょっと強がっちゃう自分が出てきちゃって。性格としては結構尖っていると思います。
――私も人の評価や目を気にする人間です。中学・高校生の頃はそういうのを考えるのが嫌になって「他人と関わらなくていいようにするのは」って考えていましたね。
そうなんですね! 私と似ているかも。
――でも、前に出たがりなところもあって。
いや、そうなんです! 私も本当にそれで! 心の底では目立ちたいと思っているし、人に認めてもらいたいって思っているんですけども、自分の弱い部分が出ちゃってなかなか一歩を踏み出せなくて。葛藤してばかりなんです。
――それはいまも?
そうですね。人前で歌うのは好きだけど、でも、あんまり顔出しはしたくないし……とよくわかんない感じなんです。こういう自分の性格を改善したいとも思っています。でも、今回のアルバムを制作していくなかで自分と向き合ってみると、ネガティブな部分や、すぐに悪いことを考えるところは治らないだろうとも思いました(笑)。
――治らないからこその魅力もあるかと思います! しかし、アルバムに収録されている曲は、本当に尖った楽曲やダークな歌詞のものが多いですよね。
ここまで出していいのか、というくらいに私をさらけ出しています。正直、こんなのでいいのかとも思ったのですが、それを音楽として発信できるのは嬉しくもあって。色々な方に聞いて欲しいですね。