NECパーソナルコンピュータは1月21日、2020年春モデルとしてPC新製品9タイプ、全53機種(継続販売、カラーバリエーションを含む)を発表しました。4K有機ELディスプレイを備えたクリエイティブ向けノートPC「LAVIE VEGA」や、画面を振動させて音を広げる一体型PC「LAVIE Home All-in-one」をはじめ、個性的な製品が揃った印象です。
NECパーソナルコンピュータの河島良輔執行役員は、Windows 10への買い替えなどが見込まれた2020年1月14日のWindows 7延長サポート終了までのPC販売状況を「非常に好調」とアピール。しかし“特需”が一段落したいま「ここからはNECも施策を考えないといけない。市場が変わるなか、どんどん攻めていく」と強調しました。
写真が快適に編集できるプレミアム機
NECパーソナルコンピュータ、2020年春モデルの主要シリーズがこちら。
- LAVIE VEGA(プレミアム15.6型ノートPC)
- LAVIE Pro Mobile(13.3型モバイル・継続販売)
- LAVIE First Mobile(10.1型子ども向けPC)
- LAVIE Note Mobile(12.5型モバイルPC)
- LAVIE Home All-in-One(液晶一体型デスクトップPC)
- LAVIE Note Standard(15.6型ノートPC)
- LAVIE Home Mobile(14型ノートPC・継続販売)
- LAVIE Tab E(Androidタブレット)
注目モデルは新シリーズの「LAVIE VEGA」と「LAVIE First Mobile」、そしてデザインを刷新した「LAVIE Home All-in-One」の3つ。
LAVIE VEGAは、クリエイターの中でも特にフォトグラファーにターゲットを絞った15.6型ノートPC。シリーズ3モデルのうち、上位2モデルでDCI-P3 100%カバーの4K有機ELディスプレイを搭載し、HDRもサポート。高精細な写真を快適に編集できるよう「思い切って性能を追求した」といい、ノート向けのハイエンドCPUや大容量ストレージを内蔵します。一方で、厚みは最大で18.3mm、重さは2㎏以下に留め、撮影現場へ持ち出すことも可能。
キーボード面では、ノートPCとしてはやや特殊な、独自のショートカットキー5個を最左列に搭載。「プロキー」と名付けられたこのキーは、WordやExcel、Lightroomなど対応アプリのショートカット機能を割り当てられ、写真編集を含めたクリエイティブ作業が効率的に行えるよう設計されています。写真の編集、管理ができるサブスクリプションサービス「Adobe Creative Cloud フォトプラン」が1年利用できるライセンスキーも付属します。
「1人1台端末」が背景、学習向けのキッズPC
LAVIE First Mobileは、K12(幼稚園~高校生)向けに作られた新シリーズの10.1型2in1 PC。子どもが扱いやすい小型サイズに、ペン対応タッチ液晶を搭載しました。本体は着脱式で、主要なインタフェースやバッテリは画面側に搭載されています。キーボードは開くと角度が付くリフトアップヒンジを採用し、手首の負担を軽減するとのこと。キッズ向けにアイコンを多用したメニューや、プログラミングを想定した「スクラッチガイド」といった専用ソフトもプリインストールされています。
同社がキッズ向け製品を新投入する背景には、教育市場でのICT環境の整備を推進する文部科学省の「GIGAスクール構想」があります。内閣府の「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(2013年度)によると、特に13歳~20歳の年齢で、日本は先進国と比べ突出してパソコン利用率が低いといい、同省はGIGAスクール構想の中で、1人1台端末(ICT機器)が使える環境を整えるとしています。
これに加え、小学校でのプログラミング教育必修化も始まります。NECパーソナルコンピュータが2019年12月に10,669名を対象とした調査では、子どもに今後習わせたいものとして「プログラミング」が7位となり(「現在習っていること」では14位)、同社は保護者の意識が変化していると分析。LAVIE First Mobileに限らず、今後教育分野向けには力を入れていくとしました。
画面から音が鳴る、新デザインのリビング向けPC
LAVIE Home All-in-Oneは、液晶ディスプレイを前面に、PC本体を背面に配置した山折り型デザインのフルHD液晶一体型デスクトップPC。23.8型と27型の2モデルがあり、27型モデルではディスプレイに液晶パネルを振動させて音を広げるLG Displayの技術「Crystal Sound Display」を内蔵しています(サウンドチューニングはヤマハが担当)。
狭額縁を採用したリビング向けのオールインワンPCで、前面にあるのがディスプレイのみのため、どこへ置いても馴染みやすい印象があります。音声操作はこれまで、シャットダウン状態からの音声起動が可能でしたが、新たに起動状態からのスリープとシャットダウン、アプリの起動なども可能に。会場のうるさい場所ではうまく音声認識ができない場面もありましたが、「ねぇLAVIE、いつものアプリ」といった声掛けからYouTubeアプリの起動などが行えていました。
今後はゲーミングPCにも注力
同社は以前からPC需要のセグメントを、ビジネス・プロシューマー向けの「Pro」、家庭向けの「Home」、教育向けの「Education」の3つに分けていましたが、今回からゲーミング向けの「Game」を加えた4つを、PCの需要がある市場として想定。この2020年春モデルは、例えばLAVIE VEGAはPro向け、LAVIE First MobileはEducation向け、LAVIE Home All-in-OneはHome向けとして登場しましたが、今後、教育向けのほか、ゲーミング製品にも注力するとしています。