「サイバーマンデー」や「ブラックフライデー」など、期間限定のセールをしばしば実施するAmazon。セールでは、定価の70%や80%引きといった高額割り引きの表示がなされた商品がお目見えすることも多く、「そんなに安くなっているのなら…」と思わずポチッとしてしまう人も多いでしょう。しかし、このような高額割り引きのセール品のなかには「セールが始まると同時に定価を引き上げ、通常時と同じ販売価格なのに割引率だけ大きく見せる」という不正な手法を採っているものも存在します。そのような不当な価格操作が行われた商品かどうかを確認でき、「もはやAmazonで買い物をするなら必須」と高い評価を集めている便利なツールをご紹介しましょう。

  • 多くの人が利用しているAmazon。みすみす高値のときに商品を買ってしまわないよう、便利な無料ツールを利用してみましょう

過去1年間の価格推移をグラフで表示

Amazonでの買い物にあたり、うっかり商品が高値の時に買ってしまい、あとから後悔するというのはよくある話。また、「サイバーマンデー」といったタイムセールなどで、「通常価格の4割引」と称しつつ実はその分を値上げしていて、普段の価格とそれほど違いがなかったことを商品が到着してから知り、がっかりさせられることもしばしばです。

こうした場合に重宝するのが、無料で使えるブラウザ拡張機能「Keepa」。これは、過去1年にわたっての、その商品の価格推移をグラフ化して表示してくれる拡張機能です。最低価格や最高価格が一目瞭然になるので、その商品の買い時を的確に判断できるというわけです。

  • 「Keepa」のサイト。全世界で10億点、日本に限っても9300万点もの商品の価格をトラッキングしています。ブラウザ拡張機能はChrome、Firefox、Opera、Edgeに対応。入手や利用は完全に無料です

  • この商品のグラフでは、12月のサイバーマンデーに向けて価格が下落していき、それが過ぎると元の価格に戻っていることがよく分かります

新品・中古に分けてグラフを表示。タイムセール時の通知機能も

KeepaにはWebサイト版もありますが、一般に使われるのはAmazonの商品ページにグラフを直接埋め込めるブラウザ拡張機能版(Chrome、Firefox、Opera、Edgeの各ブラウザに対応)です。ざっと使い方を見ていきましょう。

拡張機能のインストールを完了すると、Amazonの商品ページ上にKeepaのグラフが自動的に表示されるようになります。インストールした時点からのデータではなく、過去にさかのぼってデータを得られるのが便利なところです。

  • Keepaのブラウザ拡張機能をインストールすると、Amazonの商品ページの上部、商品写真のちょうど真下あたり(赤枠内)に、Keepaのグラフが表示されるようになります

対象期間は初期設定では過去1年分となっており、新品や中古といったステータスごとにグラフが描画されます。グラフにマウスを重ねれば、特定日時における価格をピンポイントでチェックできるほか、期間を絞り込んで表示したり、最低価格や最高価格を表示することもできます。タイムセール時の価格をピンポイントでチェックすることも可能です。

  • ある商品のグラフ。最高価格と最低価格にざっと2倍もの差があります。さらにタイムセール(赤丸)の頻度も高く、通常価格で買うよりセールを待ったほうがよいことが分かります

  • 凡例にマウスを重ねることで、新品と中古それぞれの最高価格と最低価格、および現在の価格を表示することもできます

  • この商品は、サイバーマンデー時に価格を下げて対応し、その後価格を戻していることがよく分かります。複数の商品を見ていくとさまざまな傾向が把握できます

  • こちらの商品は逆に、割引率が高くなるセールが始まると価格をジワジワと上げていき、セールが終わると価格を段階的に下げていたことが分かります。こういった値動きを見せる商品は要注意といえるでしょう

さらに、価格をトラッキングし、値下げや在庫の復活といったステータスの変化や、タイムセールの通知を受け取ることも可能。一度使い始めると、これなしではAmazonでの買い物ができなくなってしまうほどです。

  • 特定の商品を登録しておくことで、タイムセールの開始情報を受け取ることもできます

スマホ版のアプリはないが、KeepaのWebで表示できる

拡張機能をインストールできるのはパソコン版のブラウザのみなので、iPhoneなどのスマホには導入できません。しかし、スマホでKeepaのWebサイトにアクセスして検索窓に商品コード(ASIN)を入力すれば、価格推移のグラフが表示されます。

  • 三本線のアイコンをタップするとメニューが現れるので、一番下の「検索」をタップして商品コードを入力します

  • すると、PC版と同じグラフが表示されました。スワイプすれば拡大表示できます

ここに注意! Keepaの特性を知って使いこなすには

機能の豊富さとその便利さから、日本でも愛用者が増えつつあるKeepaですが、決して万能というわけではありません。例えば、価格推移のデータが商品ページにひもづいており、URLが変わるとリセットされてしまう点は、その最たる例です。

おもに海外業者が販売する商品によくあるケースですが、商品のレビューで低いスコアがつき始めると、そのページを一旦リセットして別のページを立ち上げ、新製品であるかのように売り始めることがあります。早い話、粗悪品を「売り逃げ」しているわけです。

こうした場合、Keepa上では過去の価格推移が引き継がれず、真新しい商品のように見えてしまいます。出品者が以前とは異なる商品と言い張っており、商品コード(ASIN)も異なっていれば、過去のデータを引き継ぐことは不可能で、利用者の側としては対策のしようがありません。

  • Keepaで取得できる商品の基本データ。商品コード(ASIN)が異なっていると、価格情報を継続して取得することはできません

さすがに、これらはKeepa対策のためだけに行っているわけではないでしょうが、Keepaは著名なツールゆえ、業者側もその特性については調べ尽くしたうえで、ある程度の対策を施していると考えるのが自然です。

もっとも、これを逆手に取って、Keepaに過去の価格情報がない商品を購入対象から外したり、表示期間に比べてレビュー数が異常に多ければサクラの可能性が高いと判断するといった使い方もできます。このあたりは工夫次第でしょう。

いずれにせよ、Amazonでは不正行為とその対策がいたちごっこで続けられており、このKeepaを使う場合も、それを踏まえた上での慎重さは必要といえそうです。