JVCケンウッドは「CES 2020」において、初公開となる新たな頭外定位ヘッドホンシステム「EXOFIELD THEATER」(エクソフィールド シアター)をはじめ、完全ワイヤレスイヤホンや、各種車載システムを出展していた。
ヘッドホンで「サラウンドスピーカーのサウンド」を再現
「EXOFIELD」(エクソフィールド)は、2017年にJVCが発表した音響技術。通常のヘッドホンでステレオ音源を聴くと、頭の中でボーカルや楽器などの様々な音が鳴り響くような感覚を覚えるが、この状態は自然な音場表現とは言い難い。EXOFIELD技術は、音の発生源との距離感や定位感を明確にし、ヘッドホンで音楽を聴いてもスピーカーで聴いているような自然な奥行き感・距離感を感じられるようにする……というものだ。
今回JVCがCES 2020で初公開したEXOFIELD THEATER「XP-EXT1」は、従来のステレオ音源に加えて映画などのサラウンド音声を、個人の聴覚特性に応じて立体音場で再生。「マルチチャンネルスピーカーシステムのリアルな没入感をヘッドホンリスニングで実現する」という。米国では1,000ドルで2020年春に発売する予定だ。
XP-EXT1は、個人の聴覚特性(音の聞え方)を測定するマイクを内蔵した専用ヘッドホンと、頭外定位処理などを行うトランスミッター部で構成。トランスミッターにはHDMI入力3系統と出力1系統を備え、市販のテレビやBlu-rayプレーヤーと接続できる。Dolby AtmosやDTS:Xといったオブジェクトオーディオ信号に対応しており、EXOFIELDの技術を用いて処理した音声信号をヘッドホンにワイヤレス送信する仕組みとなっている。
EXOFIELD THEATERを使う前に、専用のスマートフォンアプリでテスト音声を流し、ヘッドホンのイヤーパッドの奥にあるマイクを活用してユーザーごとの聴覚特性を測定。測定するときは専用ケーブルでヘッドホンとトランスミッターをつなぐが、測定後はワイヤレスヘッドホンとして利用できる。
ブースで実際に体験したところ、頭外定位のシステムがはたらき、バーチャルサラウンドとは違った自然な音場を体験することができた。仕様上は、最大で7.1.4chのDolby Atmos音声をサラウンドスピーカーで聴いているかのように再生できる、とのことだ。なお、EXOFIELDは任意でオン/オフできるほか、トランスミッター側で3つのサウンドモード(Music/Game/Custom)を選ぶこともできる。
スポーツ用完全ワイヤレス「HA-AE5T」登場。車載機器も
JVCのスポーツヘッドホン用ライン“AEシリーズ”の新製品として、完全ワイヤレスイヤホン「HA-AE5T」とケーブル付きのワイヤレスイヤホン「HA-AE1W」を出展。イヤホン部分は共通で、空気抵抗を抑える「エアロスリムデザイン」を採用し、フィット感も高めた。IP55相当の防水防塵性能を備えている。LDSアンテナで接続安定性も向上させた。
完全ワイヤレスのHA-AE5TはaptXコーデックに対応。対応スマホと組み合わせて、クアルコムの左右同時伝送技術「TWS Plus」に対応する。連続再生時間は最大最大約9時間で、付属の充電ケースと組み合わせると最大27時間音楽を聴ける。ケーブル付きのHA-AE1Wは最大11時間再生できる。
このほか、KENWOODブランドの海外向けカーナビや、ドライブレコーダーの車載システム、運転時の安全性を高める取り組みなどを多数展示していた。
説明員によると、ドライブレコーダーは北米市場でも広がりを見せているようだが、国土の広いアメリカらしく、撮影が許可されている州とそうでない州があるとのこと。同社では、GPSを活用して州を跨ぐ際に自動で撮影機能のオン/オフを切り替える機能を実装したドライブレコーダーを開発。現在は発売検討中の段階だという。