近代五種とフェンシングの「二刀流」で大活躍の才藤歩夢(さいとう あゆむ)選手。実力と美貌を兼ね備えた若手アスリートとして注目が集まっている。
昨年12月に行われた近代五種(フェンシング、水泳、射撃、馬術、ラン)の全日本選手権では見事に初優勝を飾り、特に得意とするフェンシングでは圧倒的な力量を改めて誇示。その実力と存在感は輝きを増す一方だ。
東京オリンピックを目前に控えた今、才藤選手は何を思うのか。23歳の素顔に迫った。
■近代五種&フェンシングの楽しみ方
――まずは全日本選手権、優勝おめでとうございます。
ありがとうございます。練習の成果が出せたと思っていますので、このタイミングで優勝できたことは素直に嬉しかったです。フェンシングでも五輪が懸かった国際戦が控えていて、それに私が出ることも決まっています。こちらでもしっかりアピールし、五輪代表入りを目指したいと思います。
――日本では、フェンシングも近代五種も、まだメジャーなスポーツではありませんが、才藤選手はどのあたりが魅力だとお考えですか?
フェンシングはだいぶ有名になってきたとは言え、まだ3種目に分かれていることなどはあまり知られていません。ぜひ一度、会場に観にきてほしいですね。テレビで見るのとは迫力が違うはずです。
近代五種に関しては、バラバラで統一感がない5種目をひとりでこなすという点が面白いと思います。しかもすべてを同日に行うので、一度に5個種目を楽しめるのも魅力ですね。近代五種には馬術が含まれていますが、五輪種目で唯一動物を使った競技だというのも特殊ですし、逆に言えばそこが一番難しい部分でもあります。
――馬術は練習場所の確保も大変そうですね。
本当にそのとおりで、いろんな場所に移動して練習しています。ランはどこでもできるし、水泳もいろんなところにプールはあります。でも、馬術の練習だけはどうしても……。近くても千葉県とかになっちゃいますね。
■アスリートの休日
――近代五種の選手ならではの苦労ですね。練習する種目も多いし、移動時間も長くて大変だと思いますが、休日は取れていますか?
普段は午前、午後で2〜3種目の練習をしています。移動も含めれば、ほぼ1日がかりですね。でも、週1くらいでオフをとっていて、大体おいしいものを食べに行ったり、買い物に行ったりしてリフレッシュしています。好物はお肉。特に焼肉が好きですね(笑)。休日は競技のこともあまり意識していませんし、うまく息抜きはできていると思います。
――インスタグラムでは流行りのタピオカをよくアップされていますね。
タピオカは大好きです(笑)。日本はもちろん、アメリカやハンガリーなど、遠征先でも飲んでいて、タピオカ店を見つけると、「やった、タピオカだ! 」ってテンションが上がっちゃいますね(笑)。
――最近ではファッション誌に出たり、始球式に呼ばれたり、マルチに活躍されていますね。
そういった仕事も楽しんでやらせていただいていますし、いい気分転換になっています。フェンシングも近代五種も、まだあまり馴染みのない競技なので、私が露出することで少しでも競技に注目が集まればいいな、と思います。全日本選手権でも、「(才藤選手を)テレビで観て来ました! 」ってお声がけいただけて、すごく嬉しかったです。
■「何事も楽しむ」という才能
――露出が増えるとスタイル維持も大変そうですが、食事管理などはどうされているのでしょう?
近代五種がかなりのカロリーを消費するので、逆に、食事はできるだけ食べるように気をつけています。練習の合間にゼリーを飲んだり、プライベートはできるだけ食べて、体重を増やすよう心がけています。食べるのも大変ですけど、食事制限する競技よりは恵まれているかな、って思っています(笑)。
――それだけ過酷な競技だという証拠ですね。海外遠征も多いと思いますが、環境の変化にしんどさを感じたりはしませんか?
私はどちらかというと、海外遠征も楽しんでいます。心肺能力を上げる高地トレーニングをするためにケニアにも行きました。直行便がないので4回も乗り換えがありましたが、ストレスは感じません。
「早く日本に帰りたい」って言う選手もいますけど、やっぱり環境が変わると新鮮な気持ちにもなりますしね。簡単な英会話で現地の人とコミュニケーションをとるのも楽しいです。
――それは素晴らしい才能ですね。
先日も、アスリートを支援している「TEAM VISA」のサミットが米サンフランシスコで開かれました。私もスポンサードを受けているので参加したのですが、そこでも世界中のアスリートやメダリストたちと交流できて、すごく刺激を受けました。「自分もこんなふうに活躍したいな」って。
■苦労のなかにも喜びを見つける思考法
――ハードスケジュールさえ楽しんでいる様子で、とても心強く感じます。期待値が高まることで、プレッシャーとかは感じませんか?
プレッシャーで崩れる選手にはなりたくないと思っています。試合も練習もとりあえず楽しもうって考えるようにしていますね。練習もキツイですけど、「前よりもできることが増えた! 」「タイムが上がった! 」って考えると、練習だって楽しいなって思います。
――才藤選手の前向きな思考法は、どの競技でも、どの仕事でも参考になりそうですね。マイナビニュースの読者にもアドバイスをいただけますか?
やっぱり、何事も楽しむことではないでしょうか。緊張して試合で固くなるより、試合を楽しもうとしたほうが結果もいいですし。「上手くできなかったらどうしよう」と思って試合に臨むより、程よくリラックスしたほうがいい。そこは大事な試合のときほど意識するようにしています。
――最後に、今後の目標をお聞かせください。
国内では安定して勝てるようになってきたので、海外でも戦える選手になりたいと思っています。やはり世界の選手と比べると、どうしても体格差を感じます。パワーもスピードも海外の選手に劣っていると感じるので、私もウェイトトレーニングでパワーをつけつつ、パワーだけで勝負しない戦略的な戦い方ができるよう頑張りたいと思います。