オーディオテクニカが、2020年の新商品としてアクティブノイズキャンセリング(NC)機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホン「ATH-ANC300TW」を発表。CES会場でオーディオテクニカの担当者に、製品の詳しい特徴を聞きました。
ATH-ANC300TW(以下、ANC300TW)は、北米市場向けに発表されたイヤホン。発表日の1月8日時点では「国内発売未定」としていますが、日本でも発売が計画されています。グローバルの発売時期は2020年春頃。北米での販売価格は229ドルから249ドル前後(約2.7万円)。
「(NC対応の)QuietPointシリーズのヘッドホン『ATH-ANC900BT』、ネックバンド型イヤホン『ATH-ANC400BT』と並んでラインナップを構成する主力モデル」であると、オーディオテクニカの京谷崇央氏がANC300TWの位置づけについて説明しています。
カラーバリエーションはブラック系の1モデルですが、ケースと本体は光を当てる角度を変えるとブラックやチャコールグレー、ネイビーのようにも見える繊細で上質な色合いに整えられています。
5.8mm径のダイナミック型ドライバーには、オーディオテクニカが上位モデルを中心に採用する高音質化加工技術のDiamond Like Carbon(DLC)コーティングを施しました。解像感が高く、バランスの良いサウンドにチューニングしています。
BluetoothコーデックはaptX/AAC/SBCに対応。クアルコムのSoCを積んだことで、Snapdragonシリーズの最新SoCを搭載した対応スマートフォンとの組み合わせで、左右同時接続機能「TrueWireless Stereo Plus(TWS Plus)」が利用できます。
NC機能は、ハウジングの外向きとイヤホンノズルの中に載せたマイクで音を拾い、独自設計のデジタルNCのアルゴリズムによってノイズ成分を抽出し、正確に低減。
QuietPointシリーズの従来モデルと同様に、イヤホンと連携するスマートフォン専用アプリ「Connect」から、飛行機/オフィス/屋内の3つの使用シーンに合わせてNC効果をチューニングした3つのプリセットを切り換えられます。
本体左右のリモコンボタンで音量調整が可能。外音取り込み機能も備えており、音楽のボリュームをそのままに外音を取り込み続けるヒアスルーと、本体左側のボタンリモコンを押して、一時的に外音を取り込むクイックスルーが利用できます。クイックスルーの時にはANCをオフにして、音楽のボリュームを20%前後まで落として外音を聞きやすくします。
イヤホン本体はIPX2相当の防滴仕様。雨天の屋外でも傘をさしたり、雨具を用意すれば多少の水濡れがあっても安心して使えるイヤホン、として捉えるのが良いでしょう。
イヤホン内蔵バッテリーの連続再生は約4.5時間で、充電ケースと組み合わせると計18時間連続使用できます。
音を聴いてみる。耳に心地よいボーカル、ノイキャン効果も上々
CESのブースで京谷氏に用意していただいたスマホと音源をリファレンスにして、ANC300TWのサウンドを聴かせてもらいました。
先行するQuietPointシリーズのように、特定の音域を立たせずにナチュラルなバランスに仕上げた音作りです。フラットでおとなしいわけではなく、低音のインパクトや高域の伸びやかさ、しっかりと前に張り出してくるボーカルなどメリハリを効かせたサウンドでありながら、むやみな色づけがないので、長時間でも落ち着いて聴いていられる印象です。特にきめ細かくてリアルなボーカルの質感が耳に心地よく染みてくる手応えが良かったです。
NC機能も強調感がなく、それでいて高い消音効果があります。にぎやかなCES会場で試してみても、飛行機モードのNCを選択すると、まわりの喧噪が静まりかえり、音楽に落ち着いて耳を傾けることができました。反対にオフィスぐらいの設定を敢えて選ぶと適度に周囲の環境音も聞こえてくるので、場面に応じて積極的に使い分ければ聴き疲れの負担が減らせると思います。
標準のシリコンイヤーピースのサイズを4種類(L/M/S/XS)から選ぶだけでパッシブな遮音性能が得られますが、より積極的に消音効果を高めたり、耳元のグリップ感を調整したい場合には、同じくパッケージに付属するMサイズのフォームタイプのイヤーチップを着けると効果的ではないかと思います。
ヒアスルー機能もマイクのノイズが乗ることがなく、音楽リスニングの心地よさをキープしたまま周囲の音に注意が向けられます。QuietPointシリーズの展開の中で獲得してきたノウハウを元に、もっと良くできるところは全て活かしてきたような手応えを感じる、完成度の高い完全ワイヤレスイヤホンでした。
オーディオテクニカの京谷氏も「デイリーユースのANCイヤホンとして、様々な場面で音楽リスニングを心地よく楽しんでほしい」と呼びかけていました。日本での発売のアナウンスが楽しみです。筆者も春にまた飛行機に乗って試せる機会が今から待ち遠しくなってきました。