東京2020組織委員会は9日、東京2020大会の選手村について説明した。東京・晴海ふ頭の『本村』には、居住ゾーンとして選手や役員が18,000人泊まれるマンション21棟を構えた。

ビレッジゼネラルマネージャーの北島隆氏は「銀座から2kmという好立地で、都内の競技会場のほぼ中心に位置している。お台場、羽田、品川にもアクセスしやすい。歴代のオリンピック選手村と比較しても、抜群に利便性が高い」とアピールしている。

  • 東京・晴海ふ頭の選手村のイメージ(Tokyo 2020提供)

    東京・晴海ふ頭の選手村のイメージ(Tokyo 2020提供)

選手村の概要

選手村はアスリートの生活と安全を守り、パフォーマンスを最大限に発揮してもらうための施設。そのため原則としてメディアにも公開されない。東京ドームにして約8.5個(44ヘクタール)という広大なエリアには宿泊施設のほか、日本食も楽しめるメインダイニングホール、公園、ポリクリニックなどを用意した。選手は食事、医療をはじめとした各種サービスを無料で利用できる。

  • 閑静な高級マンションといった雰囲気の漂う選手村(Tokyo 2020提供)

    閑静な高級マンションといった雰囲気の漂う選手村(Tokyo 2020提供)

宿泊棟の建つウォーターフロントは、三方を海に囲まれた静かな土地。レインボーブリッジが見えるなど眺望も良く、「都心にありながら開放感のあるロケーション」(北島氏)だという。なお宿泊棟は大会後に、分譲マンションとしての利用が予定されている。

  • レインボーブリッジが見える抜群の眺望(Tokyo 2020提供)

    レインボーブリッジが見える抜群の眺望(Tokyo 2020提供)

オリンピック時には世界各国から来日した選手と役員約18,000人が滞在、パラリンピック時には約8,000人が滞在する見込み。7月14日から8月12日までオリンピックの選手村として、8月18日から9月9日までパラリンピックの選手村として利用される。

  • 身体の不自由な人でも住みやすいよう、バリアフリーが考慮されている(Tokyo 2020提供)

    身体の不自由な人でも住みやすいよう、バリアフリーが考慮されている(Tokyo 2020提供)

パラリンピックのアスリートが使いやすいよう、バリアフリー化が進められた。例えば広く設計された廊下では、車イス2台がすれ違うことができる。また目の不自由な人が生活しやすいように出入り口、道路に至る動線も工夫されている。

  • 報道陣には、部屋に入るエアウィーヴ製の寝具などが公開された

    報道陣には、部屋に入るエアウィーヴ製の寝具などが公開された

居住棟にもよるが、住戸内はいくつかの部屋に分かれており、ひと部屋は最大で2つのベットが入る広さ。共有スペースにはテーブルなども用意されているようだ。これら居住棟は、いわば建築途中のマンションを利用したもの。大会後にはキッチンなどが搬入され、新築の分譲マンションとして利用される(既述の通り)。

  • 部屋の共有スペースにはテーブルなどの家具が備え付けられている

    部屋の共有スペースにはテーブルなどの家具が備え付けられている

なお『分村』として、セーリング競技が行われる江の島ヨットハーバーにアクセスしやすい大磯プリンスホテル(神奈川県中郡大磯町)にオリンピックセーリング村が、サイクリング競技が行われる伊豆ベロドローム / 伊豆マウンテンバイクコースにアクセスしやすいラフォーレリゾート修善寺(静岡県伊豆市)にオリンピックサイクリング村が開村する。一方で、マラソンや競歩が行われる札幌市には選手村を設けず、宿泊施設を利用することになるとしている。

  • ベッドは環境に優しい段ボール製。このため部屋のレイアウトも選手が自由に変更できる

    ベッドは環境に優しい段ボール製。このため部屋のレイアウトも選手が自由に変更できる

ところで当然のことながら、オリンピック / パラリンピックの開催時にアスリートがどこに滞在するかは、各国選手団の方針に委ねられている。定められた選手村 / 分村 / 宿泊施設に滞在しなければいけないという決まりはなく、また部屋の使い方も自由。北島氏は「リオデジャネイロ五輪(2016年)では、アメリカのNBA選手団は選手村を使わず、豪華客船に滞在していた」という逸話を紹介した。